【テニプリ】冬来たりなば春遠からじ【幸村精市】 (ページ6)

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『馬鹿ですよね。そんなこと考えるなんて。』

絶対引かれたよね…
私がこんな変なこと考える人間だってわかったら。

「…なぜそんなこと思ったんだい？」

そう聞かれて、私は幸村君に遥斗と付き合っていたこと、別れてしまったこと、遥斗が藤本さんを好きになってしまったのがその原因だということを話した。

途中、自分で話しておいて、辛くて泣いてしまった。

こんなことで泣いちゃいけない。
そんなことぐらいわかっている筈なのに。


死にたいと考えていたと言ったうえに、自分のことを勝手に話しておいて泣くなんて、ドン引きどころではすまないだろう。
今後幸村君は私に一切関わらないようになるかもしれない。

だがその予想は外れることとなった。

「辛かっただろう。よく頑張ったね。」

彼はそう言ってくれたのだ。

更に泣いている私の頭を撫でるものだから、私は更に泣いてしまった。

幸村君は私を落ち着かせながらも、「でもね。」と続ける。

「死にたいなんて思っちゃ駄目だ。」

「死にたくなくても、死んでいってしまう人がいる。」

「俺は一度重い病気になったことがあってね。それで改めて気づいたんだ。生きることが、健康であることがどれだけ尊いことか。」


そう言われて自分の考えがとても浅はかだったことを強く思い知らされた。

『すみませんでした…』

「謝ることは無いよ。わかってくれたみたいだし。」



それから数分幸村君となにげない話をした。

予鈴が鳴って幸村君は教室に向かった。

私が泣き止むまで一緒に居てくれて、初対面なのに悪かったなと冷静になってから思った。
今度お礼をさせてもらおう。

私はというと、泣いて目が腫れてしまっていて教室に戻りたくなかったし、泣き疲れてしまったので、保健室で休ませてもらうことにした。

ベッドに入れてもらい、横になる。

本当に悪いことをしてしまったなと考えながらも眠気が襲ってきて私は眠りにつくのだった。