みたらし、たらし。おかわりっ。((RYUHEY))

みたらし、さんじゅう ページ6

「…すっ、すみません、あの、」

うっわぁ、、こわい


思わず

その小さい男性から背を向けるように縮こまる。

『なんや自分俺と会社一緒やん』

思いがけない優しそうな声に振り向くと




一番印象に残ったキツめのアーモンドアイが

にっこり目尻が下がってクリクリの可愛い目に。







「はい、」

ばっくんばっくん鳴る私の心音


『次の電車でも十分間に合うから』

「はい、」



どうしても「はい」と返事するのが目一杯で

彼もこれ以上何も言わなくて



電車は来てしまった


『…んなら』



スルリと野良猫の様に

赤色の車両に乗ってしまい、

恥ずかしくなった私は隣の車両に乗ってしまった。






_これで入社式を…


明らかに慣れてないアナウンスにウンザリしながら

終わった入社式。


配属された部署に異動する。


_ガチャ



「失礼しま『なんや自分ここの部署なん？』


掠れた声にバッと身体をあげると

「さっきの、えと」


『渋谷すばるや、なんやエラい地味な部署に来たな

自分』


タバコを咥えた渋谷すばる先輩がお出迎え。


手一杯に抱えた段ボールで気がつかなかったけど今

この部署を改めて見てみた。









「え、デスク二個だけですか」


『おぅ、そやで』


「…窓際族ですか」


『自分大した肩書きまだ無いやろ』


「…はい」


『俺はな、」


「はい」


『…やっぱまだええやろ』

「は？」

色々不詳の上司を持つ私って、、



ツカツカとこちらに来る渋谷先輩。


「渋谷先輩？」


自分の真正面に来て



『自分穢れて無さそうで無垢って感じやな』

タバコを口から外してフッと笑う先輩


「なっ、」

『お前俺の事好きやろ』

「っ、」


なんで！？なんでバレてるの？

『それもヒトメボレって奴』


恥ずかしさと慣れないタバコの匂いでジワジワ霞む

視界。

この時タバコは全く吸えもしなかったし嫌いだった



千里眼！渋谷すばるは千里眼！母を訪ねて三千里！

_意味不明パニックな思考を遮った貴方の一言




『可愛がったろうか？面白いやん』


そう言って貴方はデスクに置いてあったガラスの灰

皿にタバコを押し付け、




私の、


零れ落ちそうな涙をこらえてる目の隅にキスをした

みたらし、さんじゅういち→←みたらし、にじゅうきゅう

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す