【BL】家政夫を攻略するのは難しい【オリジナル】

十一仕事 ページ12

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「きょーうのごっはんはシチュー♪」

スーパーの買い物袋を持って、下手な歌を歌いながら屋敷への帰り道を歩く。
屋敷からスーパーまでは意外と近かった。徒歩10分程の距離だ。

自転車や軽自動車が通り、下校中の学生が歩いていく。
この住宅街を歩いていると、先程まで久世邸に家政夫としていたことが夢のように感じる。

眩しく輝いている夕日に目を細めながら、ふわふわとした足どりで、久世邸を目指した。



「どっこいしょ」

自然と出たおじさん臭い言葉と共に、双葉は調理場の机に買った物を置いた。

今晩の夕食はシチューにするようだ。
双葉は、買い物をしている途中で久世の嫌いな食べ物を把握していないことに気づいて、少し慌てた。
そもそも、こんな屋敷に住む人がどんな食事んするのか想像もつかなかった双葉は、結局自分の食べたいものにしたのだった。

それでシチューだ。

「し、し、シチュー。ししシチュー。ふー！」

妙なテンションで再び歌い始める双葉。
住宅街では人目があったため、押さえられていたが、生憎とここには双葉しかいない。その中で解き放たれた歌声は、お世辞でも上手だと言いたくはないだろう。
簡単に表すと、音痴だった。
なぜ鼻歌までで留めておかなかったのか。

歌いながら野菜を切り、シチューを煮込み、夕食を作る。

この様子を久世が見たとしたら、そっとその場を離れただろう。


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