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(はぁ〜〜ダル……)
翼はカフェオレを飲みながら心の中でため息をつく。
(いくら八城さんに絡んでくる女子を追い払うためとはいえ、流石にめんどくさい……)
眼の前でキャッキャ騒いでる女子三人を軽くあしらって、図書館で勉強するのを口実に逃げようかな……と考える翼。
しかし、翼が立ち上がろうとする前に、幼い声が翼を呼んだ。
「うー、翼!!」
この声は……
「アメリー?」
翼の真後ろに、ちょこんとたたずむ少女。舞の元使い魔、アメリーだ。
「そうだぞ! まいが忙しそうだったから遊びに来た。翼は忙しい?」
アメリーは少し寂しそうに首を傾げる。翼は首を振った。
「いや、俺は平気。
……ねえ、ごめんだけど俺こいつと一緒にいるからここでお別れでいい?」
翼は女子三人を振り返る。三人は頷くと、満足そうに帰っていった。どうやらそこまで悪い人たちではなかったようだ。
「いいのか? 今のお姉さんたち、翼と話してるの楽しそうだったのに」
「いいの。俺はアメリーといたほうが楽しいから」
翼はアメリーの手を取り、中庭へ行こうと歩き出す。翼の言葉にアメリーは目を輝かせた。
「ほんとか!? うー、私も翼といるの楽しい!」
そう言って飛び跳ねるアメリー。しかし、次の瞬間、急にもじもじと顔をうつむかせた。
翼は首を傾げる。
「……アメリー? どうしたのさ」
「な、なんでもない……」
いやなんでもなくないでしょ。嘘が下手か。
「いいから言ってみてよ。ほら、怒らないから!」
「うー……」
翼はしゃがみこんで、アメリーと視線を合わせた。アメリーは観念したのか、ボソボソと口を開く。
「……怒らない?」
「うん」
「子供っぽいって、笑わない?」
「うん」
「……しい」
「え?」
うまく聞き取れなくて、翼は聞き返す。
「……か、肩車してほしい……」
「……え……?」
先程とは別の意味で、翼はもう一度聞き返してしまった。
「わあぁぁ……!」
頭の上から、アメリーがはしゃぐ声がする。
翼はというと、内心恥ずかしさでオーバーヒート寸前ながらも、アメリーが楽しそうで良かった、と思っていた。
「高くて楽しい!! 翼、ありがとう!!」
「はしゃぎすぎて落ちないでよね?」
アメリー曰く、舞に頼んでやってもらったら三十秒も保たずに舞が体力的に撃沈したらしい。舞に迷惑をかけたくないというアメリーなりの気遣いだが、翼は翼で精神的に撃沈しそうである。当のアメリーはとても嬉しそうだ。
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有ノ手若葉 - 鈴草風音さん» ありがとうございます!(中学生の頃に比べれば)大人な翼君とその翼君に子供っぽくおねだりするアメリーが見たかった……。 (3月31日 21時) (レス) @page8 id: 960f885de2 (このIDを非表示/違反報告)
鈴草風音(プロフ) - アメリー……可愛すぎる…… (3月31日 21時) (レス) @page8 id: 90ac8e06bd (このIDを非表示/違反報告)
有ノ手若葉(プロフ) - 息抜きで書いてしまった… (12月7日 22時) (レス) id: d2f665fe39 (このIDを非表示/違反報告)
有ノ手若葉(プロフ) - はるねこにゃんさん» 増田さんと翼君コンビは自分で書いてて想像して笑いました(笑)。掛け持ちはやるべきじゃないです…。 (9月13日 7時) (レス) id: d2f665fe39 (このIDを非表示/違反報告)
はるねこにゃん(プロフ) - 面白いです!増田&翼の謎の謙遜からの翼くんのハニトラで笑いましたw(*^^*)あの2人、本当にもててそう。有ノ手さん掛け持ち多いのに更新できてすごい…。尊敬(三個掛け持ちしただけでそろそろやばくなりそうな人です) (9月12日 22時) (レス) @page4 id: 856ed8ef82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有ノ手若葉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mit2tiskb11/
作成日時:2023年9月2日 7時