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「まーーいっ!」
「わっ!!」
昼休み。舞が次のクラスに向かっていると、後ろから元気な声が舞に飛びついてきた。
「あっ…アメリー!?」
「まい、ちゃんと授業やってるか?」
ニコニコな笑顔のアメリーに、舞は思わずクスッと笑ってしまう。
「やってるよ。それより、また来ちゃったの? 待っててって言ったのに。学校の途中で来たら、目立っちゃうよ?」
「うー、でも、まいはいつも遅くまで残ってる! まいがいないとつまんない! だから…」
しかし、次第にアメリーは声を沈ませてゆく。
「…でも…まいの迷惑になるなら、やっぱり来なかったのが良かった…?」
そんなアメリーの様子を見かねて、舞は慌てて首を振った。
「迷惑とかそういう意味じゃないよ!? でも、もしアメリーに何か起きたら心配だから…。
ごめんね、これからは早く切り上げてアメリーの所に行くようにするから、それでも良い?」
舞がなだめるように言うと、アメリーは少し考えを巡らせる。
そして顔を上げ、ニコッと笑って言った。
「…うー、やっぱり平気! 頑張って待つ。舞がやりたいこと出来なくするのイヤ。だから、舞も頑張る!」
アメリーの無邪気な笑顔に、舞も優しく微笑む。
アメリーは、食堂にいるであろう翼の所へ行くと言って、元気に走っていった。
「八城さん? どしたの、こんなところに突っ立って」
「えっ?」
声を掛けられ振り向くと、お茶のペットボトルと売店の袋を片手に持った赤石が不思議そうにこちらを見ている所だった。
「赤石さん? いつもはこの時間、C棟にいるはずじゃ…」
赤石は、毎日昼休みにC棟にある売店の店員──元緑花学園の寮にあった食堂で働いていたおばちゃんと同一人物である──の、手伝いをしているのだ。
「あー。何かこの後、蛸島がこっちで授業らしくてさぁ。色々と立て込んでるらしくて。まあ僕優しいし?アイツに差し入れってことで、弁当持ってくんだ♪」
相変わらずの物言いに少し気障な雰囲気も入り混じって、更にキャラが濃くなっている赤石。
「ふふ、やっぱりお二人共仲が良いんですね」
「まあね〜。じゃ、そう言うことで」
赤石は舞にヒラヒラと手を振ると、B棟に続く渡り廊下を歩いて行った。
攻略部のメンバーは、四年前とさほど変わらない。
しかし、皆それぞれ自分たちの進みたい道を歩めるようになってきている。
舞もまた、その一人だ。
「平和って良いなぁ…」
沁み沁みと思った言葉が、思わず口をついて出てしまった。
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有ノ手若葉 - 鈴草風音さん» ありがとうございます!(中学生の頃に比べれば)大人な翼君とその翼君に子供っぽくおねだりするアメリーが見たかった……。 (3月31日 21時) (レス) @page8 id: 960f885de2 (このIDを非表示/違反報告)
鈴草風音(プロフ) - アメリー……可愛すぎる…… (3月31日 21時) (レス) @page8 id: 90ac8e06bd (このIDを非表示/違反報告)
有ノ手若葉(プロフ) - 息抜きで書いてしまった… (12月7日 22時) (レス) id: d2f665fe39 (このIDを非表示/違反報告)
有ノ手若葉(プロフ) - はるねこにゃんさん» 増田さんと翼君コンビは自分で書いてて想像して笑いました(笑)。掛け持ちはやるべきじゃないです…。 (9月13日 7時) (レス) id: d2f665fe39 (このIDを非表示/違反報告)
はるねこにゃん(プロフ) - 面白いです!増田&翼の謎の謙遜からの翼くんのハニトラで笑いましたw(*^^*)あの2人、本当にもててそう。有ノ手さん掛け持ち多いのに更新できてすごい…。尊敬(三個掛け持ちしただけでそろそろやばくなりそうな人です) (9月12日 22時) (レス) @page4 id: 856ed8ef82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有ノ手若葉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mit2tiskb11/
作成日時:2023年9月2日 7時