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もう一つの取り組みが、「GT学園」の設立だ。
GT学園は、小学校から大学院まで幅広い年代の元プレイヤーが入ることのできる施設だ。この学園はナイトメアの理解者がほとんどで、年中どの季節・どの学年でも転入することができる。生徒のほとんどが元プレイヤーで、その中でプレイヤーケアに参加した者も多い。また、教師の中でも元プレイヤーという人は少なくない。
舞たち攻略中心人物は、ほとんどがプレイヤーケアに参加後、GT学園の高校・大学に入学した。
現在、舞は大学二年生である。
麗奈と別れて教室に入る。前から二段目の左側の席に、見知った後ろ姿を見つけて、舞はその隣に座った。
「……あれ? あっ! 舞さん!! 舞さんも一限に数学取ったんだね?」
「ふふ、おはようございます、朝霧さん。そうですよ。私も数学です」
すると朝霧は、分厚いテキストを持って「だよねえ、やっぱりテストもあるし……」と眉を下げた。
「あっ、でも、舞さんはあんまり心配ないよね!」
「いやあ……油断してると、ケアレスミスとかしそうですし……」
「でも、点数悪くて杉浦さんに怒られることはなさそうだよね」
「あはは、そういえばこの前、太一さんまた怒られてませんでした?」
朝霧はため息をつく。
「そうなんだよねえ。杉浦さんのサポートはしっかりできるし、生徒の皆や会社の人たちともすぐ打ち解けちゃうのはいいんだけどさ。成績はよくないし、この前なんてまた会議室で寝てたし」
「えっ、またですか!?」
「うん。杉浦さんもご立腹だよ……中継ぎする僕の身にもなってほしい……」
(朝霧さんが一番苦労してそうだなあ……)
そこで、数学の教師が教室に入ってくる。と同時に、チャイムが鳴った。
「……ね、舞ちゃん!」
授業も中盤。その時、少し舞と距離を取って座っていた少女が声をかけてきた。
「あれ? 陽子さん! ……もしかして、最初からいた?」
舞は小声で陽子と話す。
「もっちろん! 舞ちゃんたら、全然気づかなかったね!」
陽子はニッコリと笑みを浮かべる。舞は解けていなかった練習問題の最後の一問を終わらせてから、陽子に言った。
「陽子さん、問題解けた?」
すると陽子は沈んだ表情になって軽く首を振る。
「そーなの……舞ちゃんに教えてほしくてさあ……」
「どこの問題?」
「この、問一の四番のやつが分かんなくって」
「ああ、これはね……」
舞と陽子のやりとりを横目で見ながら、朝霧は小さく笑った。
窓の外では、木々が風に揺られてざわめいていた。
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有ノ手若葉 - 鈴草風音さん» ありがとうございます!(中学生の頃に比べれば)大人な翼君とその翼君に子供っぽくおねだりするアメリーが見たかった……。 (3月31日 21時) (レス) @page8 id: 960f885de2 (このIDを非表示/違反報告)
鈴草風音(プロフ) - アメリー……可愛すぎる…… (3月31日 21時) (レス) @page8 id: 90ac8e06bd (このIDを非表示/違反報告)
有ノ手若葉(プロフ) - 息抜きで書いてしまった… (12月7日 22時) (レス) id: d2f665fe39 (このIDを非表示/違反報告)
有ノ手若葉(プロフ) - はるねこにゃんさん» 増田さんと翼君コンビは自分で書いてて想像して笑いました(笑)。掛け持ちはやるべきじゃないです…。 (9月13日 7時) (レス) id: d2f665fe39 (このIDを非表示/違反報告)
はるねこにゃん(プロフ) - 面白いです!増田&翼の謎の謙遜からの翼くんのハニトラで笑いましたw(*^^*)あの2人、本当にもててそう。有ノ手さん掛け持ち多いのに更新できてすごい…。尊敬(三個掛け持ちしただけでそろそろやばくなりそうな人です) (9月12日 22時) (レス) @page4 id: 856ed8ef82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有ノ手若葉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mit2tiskb11/
作成日時:2023年9月2日 7時