オンライン！──四年後の世界で──

一 ページ2

「舞、おはよー！！」

「あっ、麗奈！ おはよう」

一限の授業の教材を腕に抱えたまま、舞は笑顔で答えた。

そんな舞の隣に並んで、麗奈もニッコリと笑う。

「ねえ、舞。今日の一限何取った？ 私は世界史！」

「えっ！？ 麗奈が世界史って……珍しいね」

「そうなの！！ もー最悪でさあ……先生からお前は歴史がヤバいからもっと授業取れ！！ って言われちゃって……」

マジ無理なんだけど！ と麗奈は頬を膨らませる。

「私は数学を取ったよ。もうすぐ小テストあるし、頑張らないとなーって思って」

すると隣の麗奈は、はあっと深いため息をついた。

「いーなー舞は。この前のテスト、大学の全学年合わせて成績トップでしょ？ 勉強できるって羨ましい。杉浦さんみたいにリーダーシップあるわけでもないし、私の将来お先真っ暗！！」

「あはは、麗奈は大げさだなあ」


──四年前。

舞たちは、様々な困難を乗り越えて、ついにナイトメアを終結させた。

虹色のイベントボスたちの力添え、使い魔の皆との協力、クッエリを始めとした管理者側からのサポート、グリーントライアの支援……。

様々なところでの努力が大きな力となって、あの日、あの瞬間、彼らは悪夢を終わらせた。

もちろん多くの犠牲者も出してしまった。しかし、彼らは後悔していない。ナイトメアに関わった全ての人の願いは、それを終わらせること。ただ一つだったからだ。

そしてナイトメアクリア後、そのプレイヤーの後方支援に大きく貢献したのが、グリーントライア……通称GTだ。

GTはまず、元プレイヤーのメンタルや元の生活に戻ることなどをケアする「プレイヤーケア」を開設。
同じ施設内で様々な人と生活することで、徐々にその環境に慣れていくものだ。
この施設は数年間実施され、一人の滞在期間に制限はなかった。が、大体の人間が一年ほどで施設を出て、社会に復帰している。

そして、それと同時に行われたのが「ナイトメア難民の保護」だ。
ナイトメア難民とは、虹色のイベントボスたちや、ナイトメアから逃れてきた使い魔、管理者のことを指す。彼らはしばらく特別な施設に預けらた。
その後、虹色のイベントボスは自らのやりたいことができたり能力の活かせる場所で、それぞれの生活を送っている。
管理者は、逃れてきた者の全てがクッエリの仲間だったために、GT内で働いている。
使い魔は、安全の確認された者で主のもとに帰りたい者のみ外の世界で暮らしている。危険と判断された者や主のいない者は、会社で保護された。

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