さようなら、手塚国光#3 ページ32
｢いずれ
ニヤリ、と意地悪な笑みを浮かべる##NAME1##。
覗き込まれた紅焔煌めく瞳の奥に、滾る闘争心。
これは冗談ではなく、本気の言葉なのだと彼は悟る。
自分はこれから彼女と、彼女の率いる日本選手と渡り合う事になるのだと。
背伸びしたうえでも下から投げられた煽りに、手塚は｢望むところです｣と強い返事を返した。
彼の返答に満足したのか、彼女は嬉しそうに｢向こうでもしっかりね｣と激励の言葉を述べて元の距離に戻る。
「では、俺は他のコーチの方にも挨拶を……」
「そうだ、これ私の連絡先。何かあったら遠慮なく連絡してくれていいからね」
そう言うや否や##NAME1##は自分の連絡先が書かれた紙を手渡す。
随分用意周到だ。一応礼を言いつつ、そう思いながら紙を受け取る手塚。
そろそろ準備をしたいのだが……。
彼が無言で##NAME1##を見下ろせば、彼女は何かを察したのか、はたまた何かを思いついたのか「あ」と短く声を上げた。
「もしかしたら暫く会えなくなるかもしれないし、最後に写真撮らせてよ！」
そう言うと今度は携帯を取り出し、有無を言わさず記念撮影を始めた。
ぱしゃぱしゃと数枚、勝手にツーショットを撮られる。
察してもらった訳じゃなかった。しかも撮って良いとも言ってない。
早速待ち受けに今の写真を設定してる目の前のマイペースな先輩に、初めて会った時の事を思い起こされる。
やはり三つも歳上とは思えない。
「そうだ、あとついでに」
「……##NAME1##さん。もうすでに惜しくなってはいませんか？」
「……は！？いけない……！！行って国光くん！！
これ以上私が国光くんとの別れを惜しむ前に！！！」
「はい、有難うございました」
引き留めるつもりは無かったのだろう。
ハッとした顔を見せた彼女は大げさな振る舞いで、手塚の背中を押す。
全く、自由な人だ。結局最後まで振り回されっぱなしだった彼。
だがどことなく感じる安心感に、何故か居心地良かったと思わされる。
最後の挨拶がこれで良かったのだろうか？
疑問に思いながらも、彼女が笑顔で後押ししてくれるのなら、それでいいんだろう。そう思うことにした。
もう一度彼女に礼を告げながら、深く頭を下げた。
ちなみに軽く先程の要求は何だったのかと問えば「おはようボイスとおやすみボイス」と答えられ、手塚国光は激しく後悔した。
勿論、そんなボイスは残してはくれない。
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Haiter(プロフ) - めいさんさん» 返信、更新、共に遅くなってしまい大変申し訳ありません……。停止している間もコメントを頂ける事、大変嬉しいです！励みになります！コメントありがとうございました！！ (11月19日 21時) (
レス) id: fd3983f77f (このIDを非表示/違反報告)
めいさん(プロフ) - 面白すぎて一気読みしちゃいました!!執筆して下さりありがとうございます!! (9月2日 3時) (レス) @page20 id: abdb809fc9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっち - 面白かったです。更新頑張って下さい (2023年2月20日 23時) (レス) @page20 id: f8c9fe1d36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Haiter | 作成日時：2021年7月25日 21時
