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君島と##NAME1##の後ろを静かに付いてきていた遠野が、彼女の頭を背後から鷲掴んだ。
頭くだける!!と大騒ぎする彼女を気にも留めず、愉快そうに力を込める遠野。
ホントに命日になるかもしれない。そんなことが過りながらも、先程まで不機嫌そうだった彼の様子が気になった。
あれだけ面倒くさがっていたというのに。何故付き合ってくれるのだろう。
「なんだかんだ言ってホントはお出かけ楽しいんじゃん」
「んな訳あるか、スタンプラリーなんてくだらねぇ」
「じゃあ無理して付き合ってくれなくてもいいんじゃ……?」
「うるせぇ。俺の勝手だ」
「あぁ!ぐしゃぐしゃしないで!」
ギリギリと締め付けられていた頭を、突然わしゃわしゃと乱された。
やけに情緒不安定だな……。
そしてまた二人の背後に回ると、腕を組んで不機嫌そうに辺りを見渡している。
今日の彼はいつにも増して読めない。
「やれやれ……頭、失礼しますよ」
「ありがとう、君ちゃん」
荒らされた髪の毛を君島に直してもらっていると、彼は遠野には聞こえない位の声音で囁いた。
「温泉に怪我の回復に良い効能があると声を掛けたんですよ」
「なるほど」
渋々ながら付いてくる理由はそれか。
納得した##NAME1##が再度振り返れば、遠野と目が合う。
何を思ったのか、彼は折角君島にキレイにしてもらった##NAME1##の髪を、またもぐちゃぐちゃに搔き乱す。
君島の眼鏡の奥の瞳が、若干嫌悪で染まった。
「さっさと終わらせるぞ」
「分かったから、いちいちぐしゃぐしゃしないの!」
もー。とお返しに##NAME1##も遠野の頭へ手を伸ばしたが、残念ながら届かない。
じゃれ合う二人に肩を竦めながら、君島は##NAME1##のスタイリストを徹していた。
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作者名:Haiter | 作成日時:2022年7月31日 0時