ゆったりホリデー【遠野＆君島√】 ページ8
「ありがとうございました〜」
お礼の言葉を背に受けて、温かみのあるお店から出る。
君島の手には買い物を済ませたビニール袋。
そして##NAME1##の手にはスタンプの押されたシート。
君島、遠野、そして##NAME1##が加わったチームの初スタンプ入手だ。
##NAME1##は君島と遠野のペアを選んでいた。
そもそも散歩の誘いをしてくれたのは君島だったのだから。他の二人には悪い事をしたかもしれないが……。
残念がる二人の顔を思い出し申し訳なく思いながら、君島の隣を歩く彼女。
そんな彼の頭の中には行動ルートが決められているようで、特に迷うことなく次の目的地へと向かっていく。
「ねぇ、君ちゃん。今更なんだけどさ」
「なんですか？」
「スーパースターが普通に街歩いてて大丈夫なの？」
「えぇ、堂々としていれば意外とバレないものですよ」
にこやかに答える彼の顔は、その言葉通り特に気にしていなさそうだった。
まぁ確かに、田舎という程ではないが、あの”キミ様”がこんなところでスタンプラリーをしているなんて露ほども思わないだろう。
現に今の所騒ぎなどにもなっていないし。
少し心配もあったが、本人が大丈夫というのであれば大丈夫なのだろう、と“その点に関しては”そう思うことにした。
「変装してお忍びの外出も、それはそれで趣きがありますけどね」
「……私後ろから刺されたりしないよね？」
本人が大丈夫でも、自分が大丈夫じゃないかもしれない。正直、一番恐れているのはそれだ。
キミ様と温泉デートのスキャンダル、なんてことになってみろ。社会的にも物理的にも死である。
あれ？もしかしてこのペア選んだのは悪手だったのでは……？
「チッ。いちいち後ろ見てんじゃねぇよ。鬱陶しい」
「だって気になるじゃん！今日が私の命日になるかもしれないのに！」
「だったら今ここで処刑してやろうか？」
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作者名：Haiter | 作成日時：2022年7月31日 0時
