story16 ページ19
夢の中だった。
学校に行っても、誰も笑わなかった。
私の姿を、綺麗と言ってくれた。
みんなとご飯を食べて。
みんなと遊んで、勉強して……。
みんなと歩いていた。
目の前には北極星。
それを目指してみんなで手を繋いで歩いていた。
だけど、途中で道から押し出された。
『あんたはただの構ってちゃん』
『見た目はただの作りもの』
『本当は髪染めてるくせに』
『いなくなれ、消え去れよ』
『お前みたいな、イラナイやつなんて』
「っ！！！」
目が覚めた。
汗と涙でぐしょぐしょの寝具。
でも、私の部屋じゃない匂いがした。
「どこ、ここ……。」
見覚えは多分ある。多分。
このthe男子って感じの部屋は……。
「あ、起きたか。」
彰人だ。
「ぇ……運ばれた？」
「そーだよ。ったく、路上で倒れるなって。」
「ごめん……。」
「まぁ、お前が無理してんの知ってるから。」
ほらよ、と冷えピタを渡される。
そういえば体が重いな。
「……風邪ひいた？」
「自分のことぐらい自分で気づけバカ。」
つまり引いてるんだな。
なんなら、サイドテーブルに
おかゆとりんごが乗っかってる。
人参は……入ってないね。うん。
この作り方だと……。
「絵名ちゃんが作った？」
「正解だ。なんで分かるんだか……。」
「具材の切り方。彰人は具材大きい。」
「不器用で悪かったな。」
「不器用じゃなくて性格な気がする。」
「大雑把とでも言いてぇのか？」
「うん。」
「元気になったらぶちのめす。」
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作者名：廻慧 | 作成日時：2023年8月22日 17時
