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学園長先生との約束をすっかり忘れて楽しく話をしていた私。
気づいた頃には、ここに到着してからだいぶ時間が過ぎてしまっていた。


 
『まずい、急がないと……!!』

「Aさーん!!こっちこっちぃ!」


慌しく乱太郎達に別れを告げ、小松田さんを追って走り出す。
小松田さんとは勿論初対面なのだが、今はゆっくり挨拶をする暇は無い。


校庭を真っ直ぐ横断し、煙硝蔵の角を曲がり、さらに脇道を通って広い学園の奥まで進んで行く。
この長距離走、運動神経と体力がほぼ皆無の私にとっては、正直とてもきつい。



『はあっ、はあ……』


やっぱり、だめだ。
かなり苦しくなって来て、だんだんと足がもつれてしまう。

先を走っていた小松田さんが振り返り、私に駆け寄った。


「Aさぁん、大丈夫〜?」

『はい……なんとかぁ』



こういうときに限らないけれど、体力があれば良いのにといつも思う。

小松田さんもかなり足、速いし……

 

そのまま走り続けて息も絶え絶えになりながら、ようやく学園長先生の待つ庵に到着した。


『遅くなっちゃった……』


襖の前で小松田さんの隣で正座をし、汗を拭う。

乱れた忍び装束の裾と襟を直してから、さっと髪を整えた。


「学園長先生〜、Aさんをお連れしましたぁ」

「うむ、入れ」


小松田さんの間延びした声に驚きつつ、襖をゆっくりと開く。
頭を上げると、実に会うのは三年振りの学園長先生と忍犬ヘムヘムがこちらに顔を向けた。


『お久しぶりでございます……遅れて申し訳ありません!!』


……やはり、怒っているだろうか。
畳をじっと見つめて返事を待つ。

返ってきた言葉は、予想外だった。




「おぉ、A〜!!!待っておったぞ!!なんと、大きくなったなぁ!!元気そうで何よりじゃ!!」


『え、えっと……』


「ほら、そんなところに座ってないで部屋に入るのじゃ。お菓子でも食べなさい。小松田くん、お茶を入れ直してきてくれ」


何と言われるか構えていた私は、拍子抜けしたまま座布団に座る。
満面の笑みを浮かべる学園長先生に、もう一度頭を下げた。


「よく戻ったなぁ、A!忍び装束、よく似合っているぞ」

『ありがとうございます……先生もヘムヘムも、お元気そうで何よりです。』


「あぁ、元気、元気じゃ……」



そんなありきたりの話をした後で、学園長はさてと向き直る。
私も姿勢を正し、言葉を待った。

☆→←☆



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設定タグ:忍たま乱太郎 , 忍たま , RKRN   
作品ジャンル:恋愛
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海鈴(プロフ) - まみむーさん» わぁあとっても嬉しいです!!頑張ります! (2021年6月23日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 面白い作品の予感……!更新楽しみにしてます^ ^頑張ってください! (2021年6月23日 21時) (レス) id: 53993a59b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2021年6月22日 22時

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