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「なっ……」

「天女が、攻撃を避けた……?」


予想外だったのか、呆然としている怪しい人達。

私は何歩か距離を取り、竹刀を構えたままの姿勢で思いっきり叫んだ。


『……いい加減にして!天女だか妖術だかなんだか知らないですけど、あなた方がしていることは立派な犯罪!』


本来ならば、この隙に逃げるのが正解だったのだろう。
けれど、言わずにはいられなかった。

暗い静かな雑木林に、ただ私の声だけが反響する。


『私はただバスを待ってただけ!!なのになんでこんな目に遭わないといけないんだよ、ちくしょおっー!!』


よし、言ってやった!



しかし、喜ぶのも束の間_


私ははっと息を呑んだ。

何かが、聞こてくる。


……何?


『え』


「ごめんね」


耳元で響く、低くて優しげな声。


先程聞こえたのは風を切る音だと気づいたときには、もう遅い。

いや、あちらが速すぎたのだ。


『しまった、背後を……っ!」


……ああ、油断してしまった。


身体の力が抜けて、朦朧としていく。
恐らく私は、手刀を入れられた。


霞んでいく視界の中で見えたのは、お母さんの顔。

そうだ、今日の夕飯は肉じゃがだったのに……


『帰、れな……』



そこで、意識が途切れた。













伊作side


「おっ……と、」

意識を失い、そのまま倒れた少女を腕で支える。
どうやら、上手く気絶させられたようだ。


「ふぅ」


安堵からか思わず小さく息をつくと、六年生の面々が次々と駆け寄って来た。


「助かったぞ、伊作」

「良い動きだったな!」


笑顔を浮かべる仙蔵に小平太。

先程までの緊張した空気とは打って変わって、いつも通りの雰囲気に戻っていく。



「それにしても、まさか天女が武器を使ってくるとはな……」

そんな中、文次郎が地面に落ちていた竹刀を拾い上げてふと呟いた。

全員の目線は、項垂れた天女に向けられる。


「確かに、ね」


今までとは違う、かなり変わった天女だった。


まず忍術学園の誘いを拒否したのはこの天女が初めてで_

更には武器を持ち、上級生である僕達の攻撃を交わしたのにも驚愕した。


「一体、何者だ?」

「もそ」
 



「しかし、天女であることに変わりは無いでしょう」


風と共に上から降りて来たのは、五年生。

仙蔵も兵助の言葉に頷いた。


「武術の心得があるならば尚更だ。道中、特に注意を払おう」

「そうだな」


_こうして僕らは、四人目の天女を学園に連れて帰ったのである。

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海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます!性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります! (2022年1月28日 18時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します!すごく面白いです!夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです!更新楽しみにしています! (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます! (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します! (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年1月9日 22時

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