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『それ、私がやります!』
『お手伝いさせて下さい!』
学園や校庭の掃除、皿洗い、ゴミの処理_
その日から私は、雑用という雑用、とにかく出来ることはなんでも引き受けて仕事に打ち込んだ。
慣れない場所に慣れない道具、失敗だってするし、周りの目だって今まで通り優しいものではない。
忍術学園に関わるような大切な仕事は、やはり任せてもらえない。
「見ろよ、天女が掃除なんかしてるぞ」
「また何か企んでるんだろ」
心無い言葉を浴びせられることだってある。
というか、今のところほぼ毎日何かしら言われているだろう。
けれど、気にしていたって仕方が無いしここまでくれば受け流せる。
武器が飛んでこようものなら、弾くだけだ。
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『よし、校庭はこんなもんでいいかな』
そして今日も今日とて、私は箒と雑巾、そして竹刀を背負って学園を走りまわる。
ここに来てから恐らく4日。
山本さんの提案により、忍たまとなるべく生活時間をずらすために誰よりも早起きをして、仕事仕事の毎日……
聞き込みなんて出来そうな雰囲気でも無く、帰る方法の手がかりは全く手に入らない。
タイムスリップしてきた場所に行きたくても私に外出許可は下りていないし、図書室に行けば何か情報が掴めるかもしれないけれど……ここまで、そんな暇はなかった。
『って、眩しっ』
滴る汗を拭って顔を上げれば、容赦のない直射日光が視界に広がって私は思わず目を瞑る。
着ているものが黒色だからか、身体も熱い気がした。
『すごい日差しだな』
まだ夏という夏ではないけれど、今日は一段と暑い。
ふと、「水分補給ほど大切なものはない」という顧問の先生の言葉を思い出す。
『あ』
……そういえば、と、私は朝から何も飲んでいなかった事に気づいた。
そろそろ休憩を取った方がいいだろう。
『えっと、日陰……』
そう一歩を踏み出した瞬間、頭にぐっと重みを感じて思わず座り込む。
地面に両手をつき、早くなっていく呼吸を繰り返した。
『はぁ、はぁ』
突然のことに頭が回らない。
身体が熱くて、息が苦しくて……
『これ……やばい、かも』
そう呟いたときには、もう視界がぼやけかけていた。
意識を保つのが辛くて目を閉じると、遠くから微かに足音が聞こえる。
「だ、大丈夫ですか!?」
小学生くらいの男の子……が、三人?
『だい、じょぶ……』
心配かけまいと笑ってみる。
けれど、もうだめだった。
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海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます!性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります! (2022年1月28日 18時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します!すごく面白いです!夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです!更新楽しみにしています! (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます! (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します! (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年1月9日 22時