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『あ、ありがとうございました』
縄を綺麗に巻いて彼に手渡し、頭を下げる。
首を横に振った彼は、地面に置いてあった踏鋤を肩にかけた。
「別に、通りかかっただけなので」
『でも、あの』
まさか本当に助けてくれるなんて、そう心の中で呟く。
……私は、彼を疑っていた。
天女を恨む忍術学園の生徒だから、私を助けるはずが無いと。
天女だからと攻撃されるのを理不尽だと感じたのに、私は自らその理不尽なことをしていたのだ。
そして、いくら防衛とはいえ腹パンまで食らわせて……申し訳が無い。
とまあ、色々な感情が渦巻いて頭を上げられずにいると、彼は一つ言わせて貰えば、と口を開いた。
「むやみに歩かない方がいいです。ここは忍たま長屋ですから、天女を狙う人は数えきれません」
『め、面目ない』
思わず、顔を伏せる。
それは本当にその通りで、私もちょっと危機感が足りなかった。
現に、落とし穴に落ちてこの人に迷惑をかけてるし……
でもそれを忠告してくれて、無愛想に見えるけどやっぱりいい人なんだなあ、なんて考える。
「ほら、もう戻って下さい。部屋に」
『え、あ、はい！』
……そうだ、もう夜も遅い。
私はもう一度頭を下げ、彼に言われた通りに歩き出した。
『あの』
暫くして、気配を感じた私はまた後ろを振り返る。
案の定あの彼がついて来ていて、目線が合うと目を逸らされた。
「これは監視です」
『そうですか』
……本当に、監視なのかな
そんな考えが浮かんで、口角が上がりそうになるのを咄嗟に堪える。
まだ気を許すのは早いし、これが罠かもしれない。
ただ、今の今まで警戒され続けた私にとって、これは嘘でも嬉しいことだった。
『じゃあ、大人しく帰ります』
「ええ」
＿歩いている途中、なんとなく名前や学年を尋ねてみたものの、やはりはぐらかされてしまった。
その他も基本的に返事は一言か無視で、ほぼ私が一方的に喋っているような状態。
それでも良かったのは、きっとこれまでお喋りというお喋りが出来ていなかったからなのだろう。
「……では」
『待って！どうして、助けてくれたんですか』
部屋の前、去っていく後ろ姿に私は声を掛ける。
彼は、ゆっくりと振り返った。
「いやあ、実に素晴らしい落ちっぷりでしたよ。あの落とし穴掘ったの……僕なので」
『……え、はぁ！？』
にやり、と笑みを浮かべる彼。
私の素っ頓狂な声が、夜空に響いた。
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海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます！性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります！ (2022年1月28日 18時) (
レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します！すごく面白いです！夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです！更新楽しみにしています！ (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます！ (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します！ (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年1月9日 22時
