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『わぁ、やっぱり真っ暗』
あまりの暗さに一瞬足を止めそうになるが、構わず再び歩き出す。
空気はとても澄んでいて、頬に当たる夜の風が心地よかった。
昼間はあんなことがあったし、今だって誰かに狙われているかも知れないけど……
どうしても外の空気が吸いたくなってしまったのだから、仕方がない。
『あ、月……明るいなあ』
ふと明るくなった気がして空を見上げると、大きな満月が雲の切れ間から覗いていた。
きっと、この時代には街灯なんてものは無いし、夜の闇では月がいちばん明るく見えるのだろう＿
地面に一筋の光を差すそれは、現代で見た月よりも大きく、神秘的にも思える。
『なんか、いい雰囲気』
夜空に浮かぶ大きな満月に、黒く霞む木や茂み、まるで城壁のような瓦の塀。
吹きつける風に髪が靡けば、もはや時代劇のワンシーンだ。
そう考えるとなんだかわくわくしてきて、私は辺りを見回す。
『誰も、いないよね』
……せっかくタイムスリップしたんだし、ちょっとだけ。
前後左右、人がいないことを確認した私は腰に手を掛け、刀を鞘から引き抜く動作をする。
そして、呟いた。
『我こそは、月原A……ここで会ったが百年目、お覚悟されよ！』
＿沈黙。
『……おおお、私、めっちゃ武士だ！』
決まった、と思わずガッツポーズをする。
……そう。
小さい頃から時代劇を毎週観ていた私は、侍や武士に密かな憧れを持っていた。
他にも理由はあるけれど、剣道を始めたのもそれがきっかけで……
もちろん竹刀は部屋の中だから真似事にはなってしまうけれど、今の気分は完全に武士だ。
『ふふ……』
楽しくなってきた私は、その刀を構えた姿勢のまま、今度は敵との間合いを詰める動きをする。
空想の刀を振り上げて、前へ一歩踏み込んだ。
『成敗！……って、えっ』
ふわり、と胃が浮く感覚。
地面を踏むはずだった足が吸い込まれる。
そのまま、私は勢いよく下に落ちた。
『……いてて、な、何……！？』
痛む腰を、片手で抑える。
突然の事に混乱する頭の中で、地面が抜けて落ちたのだと分かった。
周りを見回せば、視界に入るのはどこもかしこも全て土……
私は、思わず息を呑んだ。
『え……これ、落とし穴、だよね』
「その通り。落とし穴のトシちゃん2号でーす」
『……っ！？』
突如響く間延びした声に、顔を上げる。
月明かりに照らされて、二つの瞳が私を捉えた。
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海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます！性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります！ (2022年1月28日 18時) (
レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します！すごく面白いです！夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです！更新楽しみにしています！ (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます！ (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します！ (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年1月9日 22時
