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「少しの間、目を瞑っていてくれ」


そう言われて、目を瞑った

私を抱く腕に強く力が入り、宙で回転した感じがした


「もう開けて良いぞ」


目を開けると竹林に囲まれた家の前にいた


「ここが我の家だ」


すごく静かで鳥の声さえも聞こえない


A「他に誰かいないの?」


「我は暗殺者だ。家を知られるわけにはいかないから、誰も来ないようなところに住んでいる。たまに、主は訪ねてくるが…」


A「暗殺者?冗談……、じゃないか。主って?」


「オロチという妖怪だ。普段は人間界にいるらしい」


A「そういえば、名前…」


影オロチ「我は影オロチだ。お前はA、だよな?」


A「うん。でもなんで私を連れ出してくれたの?」


影オロチ「お前がいつも1人で、寂しそうな顔をしていたから。……私だってずっと1人きりは寂しいからな」


A「似た者同士…か。でも、私はもうすぐ死ぬかもしれないよ。そしたら、影オロチがまた1人に…」


影オロチ「人間は死ぬと妖怪になる。だから…」


A「なら、影オロチのとこへ戻って来れるね」


影オロチ「あぁ。ずっと一緒にいられる」


こんなに嬉しい気持ち、初めてだ

私のことをちゃんと見てくれてた人…、妖怪がいたなんて、それだけで幸せだ

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作者名:幻想 | 作成日時:2018年3月3日 10時

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