【wrwrd!】表裏一体 (ページ5)

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「ゾムがお土産を拾って帰ってくるそうだ」
「はぁ？」
「戦場にお土産になりそうなもんがあんのか？何拾ったんだよ…」
「帰ってからのお楽しみだとのことだ」

現在、最近始まった戦争へ偵察に向かったゾムから届いた連絡が我々の中で話題になっている。大半の者たちは意味がわからんという顔をし、ただ一人だけがワクワクしながらゾムの帰りを今か今かと待っていた。まるでサンタさんを待つ子供のようだった。

「グルちゃんなんかすごい楽しみにしてへん？」
「いつもより邪悪な笑顔しとるもんな…」

仲間たちですら引くレベルの笑顔だと評判である。

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次に目を覚ましたのは薄暗い小屋の中だった。まず始めに自分が生きているという事実に驚いた。意識を失いそのまま首を絞められ殺されてもおかしくはなかったのに…何故だ？辺りを見渡せば、先程闘ったパーカーの男が壁にもたれかかり眠っていた。男の体に傷は一つもなく、服だけが汚れていた。あれほどの傷が短時間で跡もなく綺麗に塞がるとは信じられないが、男の分身のスキルがそういったものなら納得いく。そして今の私の体の状態は…

(ところどころ包帯が巻かれているな…わざわざ敵だった私をこうまでして生かそうとするか？あれほど殺気を私に向けていたのに？)

逃げないようにか手首と足首は固く縛られており、口には布が猿轡のように噛ませられている。
この状態ではどうすることもできない。仕方なく諦めてまた眠ることにしよう…
そう言い聞かせ目を閉じようとした

「お、起きたんか」

タイミングよく男が目覚めた
男は私の口に噛ませられていた布を外した。

「どうもご丁寧にここまでするとはね…」
「逃げられんようにするにはこの方法しか浮かばんかったんや、勝手に舌噛んで死んでも困るしな」
「何故私を殺さない？」

この問いを聞いた男は、ニヤリと口の端を吊り上げながら答えた。

「アンタのような人間をここで殺すのは惜しいって思ったんよ。これだけの実力を持っとる奴そうそうおらんしな」
「断るって言ったら？」
「承諾するまでずっとこのままやな」

私にNoという選択肢はないようだ。

「わかった、私はあなたの言うことに従うわ」
「物わかりのええやつでよかったわ、そういやアンタの名前聞いとらんな、なんていうんや？」

名前か…久しく名乗ってなかったな…

「私はA…これからよろしく、えっと…」

「ゾムや、よろしくなA」