＊【 A3! 】愛され家政婦の取り扱い説明書。 (ページ3)

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その２「　家政婦と寝癖　」ページ3

『おはようございまーす』

制服に着替えて、顔を洗った。
談話室にいるのは高校生組、可愛い可愛い中学生組、あとはいづみさんとつづるん。

いづみ「Aちゃん、おはよう。…時間大丈夫？」

『大丈夫だよ、いづみさん！最悪ばんすこにおぶってもらうから！』

いづみ「そっか！なら大丈夫だね！」

万里「何がどう大丈夫なんだよ！」

綴「……A」

『ん？なんだい、つづるん』

眠い目をこすって朝ごはんを食べようと椅子に座ったとき、
咲也くんと話していたつづるんと目が合った。
するとつづるんはふいに立ち上がり、こっちへ来る。

『な、なに、つづるんもおこなの……？』

綴「……A」

『え、え、』

綴「…………ここ、寝癖ついたままだぞ。ちょっとじっとしてろよ～」

『…あ、はい』

終始無言でこっちに来るものだから怒らせてしまったのかと…
ほんとのところは寝癖に気づいてなさそうな私に気づいたつづるんが直しに来ただけだった。

そうして、ぴょこんとはねてたあほみたいな寝癖を直したつづるんは
満足そうに「よし、直った」というと、私の頭にぽんっ、と大きな手を乗せた。

『……？もしかして、頭のてっぺんのほう禿げてた？
隠してくれるんなんて優しいね、つづるん』

綴「想像力豊かだな……Aみてると、弟思い出すんだよなぁ」

『あたし女の子よ』

綴「それは知ってる。寝癖に気づかないとことか、朝なかなか起きてこないとことか、すっげー似てる」

『……そう。……綴お兄ちゃん』

綴「っ！？……なんだよ、急に……！」

『いや、言ってみたくなっただけ』

私には兄弟姉妹がいないから、「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼べる存在に少し憧れていたりする。
くしゃくしゃ頭を撫でるつづるんは本当のお兄ちゃんができたようでちょっと嬉しくなった。

綴「あー…………これはやばいかも」

『なにが？』

綴「いや、なんでもない」

万里「…………A、早くしないと遅刻すっぞ。乗せていかねぇからな」

『あ、ごめん、ばんすこ！』

つづるんの顔は真っ赤だし、ばんすこはまたイライラしている。
今日は二人してなんなんだ、情緒不安定かよ。

( …………やばい、思い出しただけでにやける )

( っくそ……他のやつにあんな顔見せてんじゃねえよ…… )

取り扱い説明書、その２。
『天然。』