今日:19 hit、昨日:2 hit、合計:46,260 hit
小｜中｜大
18-3 ページ41
「すみません、こんなに間が空いてしまって…」
目の前の墓石を撫でながら、思わず苦笑いを浮かべた。もしあの人が目の前にいるのなら、きっと頬を膨らませているだろう。
「実は、先日ついに芸能界デビューしたんです」
「速水先輩…透也さん達も帰って来て、ってまだ先輩の所にはまだ訪ねてませんでしたよね。まぁ、先輩はもう知ってると思うけど」
「でも、やっとここまで来た」
ーーー7年だ。
7年かかって、漸く背中が近づいて来たんだ。
「先輩、貴方が見たかった景色までもう少しです。」
「貴方の夢、必ず私達が叶えて来ます」
ぽつり
ふと、頭に触れた冷たい感触に気づいた。
空を見上げると、鈍色の雲に一面が覆われていて、遠くではゴロゴロという音が鳴っている。
そういや、今日は雨が降るって朝のニュースで言っていたような…あ、傘持ってくるの忘れてた。
「…すみません、話したい事いっぱいあるんですけど、今日はこの辺で失礼します」
もう一度、手を合わせて立ち上がった。
「その時は先輩達と一緒に、ね」
「…」
ーーー雨の日はあまり好きではない
「…雨、か」
ーーーアイツが、消えた日だからだ。
「(ーーー夕陽)」
ーーー今、何処にいる？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋川聡 | 作成日時：2017年8月20日 12時
