【アイナナ×ブラコン】夕影の唄第3章 (ページ5)

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「夕陽さん、少し外で話さない？」

「いいよ。私も同じこと考えてた」

八乙女さんは速水先輩と、十さんは木野谷先輩と話をしている。百さんと火原先輩は2人して何か怪しい話を始めているようだけど。

あまり邪魔をしたくなかったのと部屋が狭かったから外に出る事にした。
(ちなみに、2人はまだ外で何かを話しているようだった。)

九条くんに手を引かれたどり着いたのはTRIGGERの楽屋。私達のところと少し離れた場所にあったみたい。

楽屋に入ると、ソファに座って溜息をついた九条くん。漸く肩の力が抜けた、と言っているように見えた。

「はぁ…疲れた」

「お疲れ。今週はハードだったの？」

「これまでにないくらいにね」

そう言って力なく笑った。私はそんな彼を見て苦笑いを浮かべた。

「(そっか…私もこれから彼等のようになるのか)」

八乙女事務所の新アイドルバンド『Ms.holly』。

前から先輩たちは有名だったし、八乙女社長もその流れにのってかなりメディアに出る事になると思う。

さっきまで先輩達と一緒にいたせいかワクワクとした気持ちが強かったけど、1人になって冷静に考えてみると、それは忽ち消える。

頑張るぞ、なんて可愛い言葉は出ない。逆にマイナスな考えしか浮かばない。

「上手く出来るのかなぁ…」

思わず溜息が零れた。