18-2 ページ40
ーーーこの日に限って、いつも見てしまう夢がある
ーーー『ーーー』だったあの人の声を、姿を、笑顔、その全てを
ーーーそれを見せられる度に、私は思わず泣いてしまうのだ。
ーーーまるで、涙の止め方を知らない小さな子供のように
「…さむっ」
突然吹いてきた北風に、思わず身震いをした。
2ヶ月も経つと秋真っ盛りだった季節も冬へと移り変わりつつあり、そして私は新しい環境にも慣れてきた。
そんな中、貴重な休みを使って向かう場所は電車で１時間の人気の少ない場所。そこにさっき花屋で買ったばかりの菊の花を置いた。
そして膝を着き、静かに目を閉じて手を合わせた。
「お久しぶりです」
ーーーガクさん
「夕陽！お前、夕陽だな⁉」
「…誰ですか貴方？」
「っ⁉俺を知らないのか」
「いや、知らないから聞いてるんですよ」
「…まぁ、入学したてだしある意味仕方ないか」
「(あ、話聞かないタイプの人だ)」
目を瞑る度に、蘇るあの懐かしい日。
第一印象は『自己中なイケメン』という最悪な出会いをした私と彼。私が中学1年、ガクさんが高2の時の話だ。
先輩と後輩が出会っただけ。何処にでもありふれた話が、この後の私の人生を大きく変えるとは誰も想像し得なかったと思う。
『自分は影？光は似合わない？』
『はぁ⁉んなわけねぇだろ！
そんなの逃げてることを都合良いように誤魔化しているだけだ！』
『誰にだって光になる素質はあるんだよ！輝いているヤツってのは、そこから一歩踏み出した勇気ある人の事を示すんだよ』
『いいか？俺の隣に立ちたいと思うなら、二度とそんなこと言うんじゃねぇ。
もし、またあのキョーダイに言われたっていうのならーーー』
『その時は、この俺がお前を無理矢理お天道サマの下に引きずり出してやる。』
ーーーあの時、先輩が見せた笑顔はまるで太陽のようで。
ーーーまだ影にいた私には、眩しすぎるぐらいだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋川聡 | 作成日時：2017年8月20日 12時
