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「ーーーはい、お疲れ様でした！」
気がつくと、俺と速水さんの撮影は終わっていた。
その言葉と同時に、肩から力が抜けるのがわかった。こんなに体力や精神力を削られたのは、久しぶりな気がする。
「(つーか…全然分からなかった)」
ちょっとはヒントが掴めるかと思ったが…全然油断なんてしてくれなかった。
自分の手の平の上に乗せようとすると、逆に足をすくわれそうになって主導を取られそうになってしまう。そんなことがこの数十分の間に何度もあった。
あんな風に親しげに話しかけてくれてはいるが、どこか壁があるのが時々伝わった。
「お疲れ、八乙女。楽しかったよ！またよろしくな？」
そう言ってまた笑った速水さんの手を、力無く握り返した。
「お疲れ様でした」
「(一体、なんなんだよ…Ms.hollyって)」
更に謎は深まるばかりだ。
「お疲れ、楽」
「あぁ…？龍と天か」
「何、その覇気のない声。まだ仕事中なんだからしっかりしなよ」
呆れ気味にそう声をかけた天から、冷たい水とタオルを受け取る。
ふと視線をほんの数分前までいた場所に向けると、さっきまで俺たちを撮っていたカメラマンは、今度はシュウさんとレオさんの撮影に取り掛かっていた。
「Ms.hollyは撮られ慣れてる感じがするな」
「確かに。まぁレオさんは昔読モをやった事あるみたいだし」
あとはわからないと言う天のリサーチ力に感心する龍。俺は軽く引いた。
「勿論だよ。だって僕はガチ勢のミズホリオタクなんだから」
「ドヤ顔で言うんじゃねぇよ」
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作者名：緋川聡 | 作成日時：2017年8月20日 12時
