【アイナナ×ブラコン】夕影の唄第3章 (ページ25)

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story16「初体験モデル編」 sideY ページ25

「ユウさん、こっちに視線お願いします！」

「そうそう！左手を腰に当てて…」

「OK！じゃあ、次はレオさんお願いします！」

翌日、私達は来月に発売される人気のアイドル雑誌の撮影を行っていた。

沢山の機材と大勢の人。こんな人気モデルと同じ待遇を受けるなんて、思いもしなかった。緊張はしたけど、正直楽しかった。

「ユウさん、最高にカッコ良かったですよ！」

「(ただし、男の姿じゃなかったらな！)」

私は相変わらず、男装して撮影に挑んでいたが。

「ユウ、お疲れ」

「火原先輩…お疲れ様です」

「だいぶ疲れてるみたいだな。口調が戻ってる」

あ、と呟くと火原先輩は口元を押さえて笑った。

「(やっぱり綺麗だよなぁ…笑うと)」

この人はよく笑う人表情豊かな人なのに、皆は「シュウは鉄仮面だー」なんて言っている理由がわからない。

「まぁ…今は俺以外忙しそうだからな。別に肩の力を抜いてもいいんじゃないか？」

「…じゃあ、御言葉に甘えて」

「素直でいいな、お前は」

そう言うと、火原先輩はまた微笑みながら私の頭を撫でた。

「(あ、先輩と目線が近い)」

いつもは身長差を感じるのに、男装中はヒールの高い靴を履くおかけで火原先輩との差が数ミリ程になっている。

…火原先輩、そんなに大きくないんだ。

「おい、今軽く馬鹿にしたか？」

「いえいえ！」

それにしても、うちの先輩達は心を読む力でもあるのだろうか。