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「姉さん、テレビ見たよ。デビューするなら先に教えてくれても良かったのに」
「ごめんね、驚かせたくて。どうだった？」
「驚かないわけがないだろう！寧ろ…少し怒ってるぐらいだ」
そう言って俯いた昴。私は彼に何と言えばいいのかわからず、ただ「ごめん」と呟いた。
「(心配させすぎたな…)」
すると、要兄さんが首を振って私に言った。
「夕陽、違うよ。すばちゃんが欲しかったのは謝罪なんかじゃない」
「…え？」
「すばちゃんはこう言ってるけど、本当は凄く心配してたんだよ？」
そう言って私に笑いかけた要兄さん。昴は耳を赤くして要兄さんの肩を叩いた。
「要兄だって言ってなかったくせに…」
「あはは、ごめんね」
語尾を小さくするようにそう言った昴に、要兄さんは苦笑いを返した。
「それにしても…夕陽を男にするなんて、透也は変な発想をしたなぁ」
「失礼だな！これでも名案だと思ったんだぞ⁉」
「そうか…？」
「(名案…ではないと思う)」
変装させるって方法もあったと思うんだけど…まぁ、これで上手くいったから別に構わないけど。
昴は疑問符を浮かべ、速水さんは自分の考えの素晴らしさを要兄さんに語っている。
その奇妙な光景に、思わず口角が上がってしまった。
ーーーこんな幸せな日が帰ってくるなんて、思いもしなかった。
「(このまま…続けばいいのに)」
「…」
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作者名：緋川聡 | 作成日時：2017年8月20日 12時
