14-7 ページ14
「しかし…本当に上等な所ですね」
「おう。お前達の寮よりデカイだろ？」
ニヤリと笑う速水さんに、俺も思わず口角が上がった。
朝のニュースで大きく取り上げられてたMs.hollyの話題で、俺は彼等が日本に帰ってきたことを知った。
かなり驚いたが、俺より驚いていたソウのお陰でかなり冷静に受け止める事ができた。
「後でサイン貰ってもいいですか？」
「別に構わんが…何故？」
「今日来れなかった事務員とマネージャーの為ですよ」
「いいぜ。色紙の余りが俺の部屋にあるから一緒に来い」
そう言って立ち上がった速水先輩に、俺は慌ててついて行った。
入るように促された部屋は、普通のアパートと変わらない広さだった。
しかも風呂とトイレも完備されてある。
俺は初めてきた筈の部屋に、既視感がある事に違和感を抱いていた。
「(何処かで見たことがある…)」
「ほら、サイン」
いつの間にか書きあがってた色紙を受け取り、部屋をもう一度見回した。
とても胸騒ぎがする。
「やっぱり、お前も同じ反応をするか」
「え？」
「ここに来た時、夕陽も同じ顔してたんだよ」
「大和、この部屋を見て何も思い出せないか？」
個人部屋にしてはデカイ部屋。
ヤケにデカいリビングと、キッチン。
シェアハウスにしてはあまりにも整えられすぎているこの家。
「たぶん、お前は前に見た事があるぞ」
「…前に？」
ーーーまさか
「サンライズ…レジデンス」
ーーー夕陽の実家にそっくりじゃねぇか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋川聡 | 作成日時：2017年8月20日 12時
