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「今は千って名前でやってるんだよ。そっちで呼んで」
「千斗」
「千」
「千斗」
「本当に君って…可愛くない」
バチバチと視線を交わす2人。俺達はハラハラとその2人を囲むようにして、様子を見守る。
凄く緊迫した状況だ。いつの間にか腰に抱きついている百さんが震えているほどに。
「あ、あんなにイラついている千…初めて見た」
「俺も…レオがあんなに口調が悪いのを久しぶりに見た気がする」
宥めようと思って頭を撫でてやると、頬を赤らめて「イケメンだ！」と言ってきた。何故。
「ヤバイ、今の凄くイイ！俺ファンになっちゃった！」
「は、はぁ…」
「てか顔も俺好み！結婚して！」
「け、ケッコン…？」
「茶番はその辺にしろ。百さんも、そろそろ夕陽から離れて下さい。」
シュウが溜息を吐きながらゴウに声をかけた。
ヤダヤダとゴネる百さんをゴウが引き離し、体が漸く軽くなる。
「すまない」
「別に…というかそろそろ口調を直せ。今はステージ上じゃない」
「うっ…戻すの大変なんですよ…」
「レオさんと千さん…初対面じゃなさそうですね」
Ms.hollyとして会うのは初めてだけど、あの険悪っぷりでは初めましてではないことがよくわかる。
「前に聞いたんだが…レオと千さんは学生時代にあるライブ会場で会ったことがあるらしい。
そこで何があったかは知らんが…アレ以来顔を合わせるたびにああなるらしい」
そう言って視線を2人に戻すと、
「いつも君はネチネチとしつこいんだから…だからすぐに振られるんじゃないの？」
「冷たく全てを切り捨てる女たらしのお前にだけは言われたくない。」
「(なるほど…)」
ギャーギャー騒ぐ2人を見て、私達は思わず溜息が零れた。
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作者名：緋川聡 | 作成日時：2017年8月20日 12時
