もうひとつの夢見草ー山崎大輝に妹がいてー［山崎大輝］［ツキステ。］ (ページ2)

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１話「キャスト発表」ページ2

私は、中学を卒業後夢見草への出演が決まり、とりあえずはとマンスリーマンションで生活を始めた。

そして今日、関係者に作品概要等の資料が送られた。
そこには、大まかな舞台内容とスケジュール、キャスト名が書かれていた。
『山崎大輝』という兄の名に並んで『山崎咲輝』と自分の名前が並ぶことが嬉しかった。

私は特に自分の名前に思い入れがある。
私が生まれた日、雨上がりで雨粒でキラキラと輝く華を見つけた当時6歳だった兄が
「赤ちゃんの笑った顔、この咲いてるキラキラしたお花みたい。」
そういったことから、兄と同じ文字を使い『輝く華が咲いたような笑顔が絶えない人生になるように』と名付けられた。
昔から兄が大好きで何をするにも付いて回っていた私がその話を聞いた時はとても嬉しかった。

そんな思い出に浸っているとふいに携帯が鳴った。
兄からの電話だ。
『お兄ちゃん…珍しい。もしもし？』
「咲輝！どういうこと！？夢見草の舞台」
『声大きいよ。サプライズ。内緒でオーディション受けてたの。お母さんたちには許可取ったよ？』
「…なんのサプライズだよ。てか、咲輝まさか静岡から稽古通う気か？」
『それならもう東京来てるよ。マンスリーマンションで生活してる。』
「は…？それこそ先に言えよ。お前まだ未成年だろ。俺ん家部屋空いてっから引っ越してこいよ。」
『え、でも。お兄ちゃんお仕事あるじゃん。』
「いや、1人で生活させる方が心配。だからおいで。」
『うん。ありがと。またお兄ちゃんと暮らせるね。』
「おう。じゃあまた連絡するな。」