重症なのは?6 ページ10
本人と一緒にここまでの検査の結果を聞き、1日入院して異常がなければ、退院できるし、熱が下がって傷がふさがればいつも通りの生活に戻れるとのことだった。ライブについてもバク転とターンはほどほどに、という程度で、無理はしないことと、そして経過観察の通院を怠らないことを言いつけられたくらいだった。
ほどなくしてリハを終えたメンバーが合流した。
「ちぃ〜!」
裕翔がいち早くベッドサイドに駆け寄り、肩やら頬やらをべたべたと撫でまわしている。
「えっ?早っ!もうリハ終わったの?ちゃんとやった??」
「巻いた巻いた!最短じゃない?」
予想より早い到着に、侑李が目を丸くすると、伊野尾がへらへらと答える。一気ににぎやかな空気になったので、病室だぞー、ちょっと静かにしろよー、とくぎを刺す。
一応ボリュームを抑えながらも鼻息荒く
「言い訳なら聞いてやるぞ。」
と大ちゃんが言ったところで、俺は侑李と目を合わせて笑った。
「なに笑ってんだよー!」
「ごめんね、さっき全く同じセリフを聞いたもので…。」
一応ちょっと申し訳なさそうにくすくす笑いながら侑李が答える。
「なんだそれ。心配したんだからなー、ったく。優しいお兄ちゃんの言うことは聞けってことだよ。わかった?」
と拗ねたような表情を作って言って見せた。
「はーい。」
結局いつも通り、知念侑李様を前にすると、強く叱ることができない大ちゃんだった。
いろんな意味で最強の末っ子だ。
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作者名:misto | 作成日時:2023年10月30日 20時