重症なのは？４ ページ8
�睫擇�救護ブースからガーゼとタオルを持ってきてくれたので、手早く今抑えているタオルから交換する。う〜ん、おさまってはきたけどまだ出てるかぁ…。
「今何分？」
「５分だね。」
「さんきゅー。」
慌てた様子もなく、当たり前のように伊野尾から答えが返ってくる。適当に見えて、本当に頼りになる男だ。それにしても、こういうときの５分は死ぬほど長いもんだ。通報から到着まで平均8〜9分らしいから…あと3,4分か。
「にしても、あんななんでもないとこで落ちるなんて、ちいらしくないじゃん。何かあった？」
「うーん、ちょっとめまい…。……ねえ、宏太、大貴怒ってたかなぁ？」
涼介が、なぜそこで大ちゃん？と不思議そうにしていたので
「微熱あったらいくて、心配してた大ちゃんに『大丈夫』って言ってリハに出たんだよ。なー、ゆうりー♪」
「…本当に、大丈夫だと思ったんだけどなぁ…。」
わざとちゃかして嫌味っぽく言うと、知念は苦笑いして返す。過保護な山田からわずかな殺気がたって、�睫擇�やんわりフォローに入る。
「猿も木から落ちるってやつ？そういえば、前に井上さんに両親猿って言われてたよね。」
「こっちです！！」
入口の方がバタバタと騒がしくなり、裕翔と大ちゃんに先導されて救急隊が到着した。俺は手短に状況を説明し、救急隊に引き継ぐ。
「どなたか一人、救急車に同乗してください。」
マネージャーに片手をあげて自分が行く意思を伝えると、頷く動作と視線で「くれぐれもよろしく」と言われたので、
「あ、僕が。」
と救急隊に答える。担架に乗せられた侑李にも、いい？と確認すると、
「ん。ありがと。お願い〜。」
と、先ほどよりも気の抜けた返事が返ってきた。
救急車に乗り込むと、サイレンを鳴らしてすぐに発進した。電話で詳細な状況を伝えていた甲斐があってか、受け入れ先の病院はすでに決まっていて、あっという間に病院についた。持ってきた血の付いたガーゼとタオルを看護師に預け、処置室に向かう侑李を見送る。
どうか大事に至りませんように。祈りながら、グループラインで現状を伝える。ほどなくして、マネージャーも到着し、処置室の外で沈黙して待つ。
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作者名：misto | 作成日時：2023年10月30日 20時
