君は可愛いぼくらの弟。 (ページ6)

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重症なのは？２ページ6

「無理すんなよ。リハなんだからさ。」
「うん。わかったよ。大ちゃん心配性だなぁ。僕もう２８よ。」
　今日はドームツアーに向けてのリハだ。久しぶりにメンバーがそろう。俺が行くと、楽屋にはすでに大ちゃんと侑李がきていて、しゃべりながら準備をしていた。いつものようにマイペースに準備をしながら、最近の口癖「僕もう３０」と今日も言っている侑李に対して、大ちゃんは手を止めて侑李の方に向き合い、いつもより真剣な口調で話していた。
「ん？大ちゃん、どうかした？」
声をかけてみると、
「あぁ、藪君おはよ。知念ちょっと熱あんだよ。」
「うん、おはよー。そうなの、侑李？」
侑李の方を見ると、「あぁ、宏太おはよ。なんか久しぶりだね。」とうれしそうにこちらを見上げてくる。うーん、言われて見ればいつも以上に白いような…。
「そうなの？熱どれくらいあるの？」
さっきスルーされたことで、熱があることは確定したので、質問を少し変えてもう一度聞いてみる。
「さっき入り口ので測った時に7度4分だったのよ。まあ、今日暑かったからねー。」
「ふーん。他に体調に変わったところは？」
「ないよ。家では平熱だったし。」
まあ、あのタイプの検温系は結構誤差が出るもんな、なんて思っていると、大ちゃんが知念の顔を覗き込んで言った。
「でもさ、いつもより顔がトロンとしてる気がしない？」
まじまじ見てみるものの、正直そういうのよくわかんねぇや。
「う～ん、そんなことないと思うけど…、じゃあバク転は位置確認だけにしとこっかな。
　大丈夫なんだけどね、大貴がうるさいからね仕方なくね。」
「うん、そうしてそうして。俺のためにそうして。」
優しい大貴お兄ちゃんは、かわいい弟にうるさいといわれても、心配事が減って満足したようで、自分の支度をし始めた。
「調子悪くなったら、無理しないで言えよ。」
「はーい。」
ちょっとふざけたよいお返事を聞けたところで、俺も支度を始めた。俺たちにとってはかわいい末っ子のこいつも、いい大人だし、もう１７年経験値を積んでいる。何よりプロ意識が高い奴だから、自分で大丈夫と言っている以上、俺がとやかく言うことじゃない。

そう思って、リハに集中していたときだった。