◆黒執事◆～Soul in the mist 霧の中の魂～part1 (ページ35)

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◆34.秘め事の姉ページ35

客室…──＜シエルside＞

ブレアは明らかに動揺している

シ)「何か…深いわけがあるのか」

ブ)「…何m「そうとは思えないが」…」

どんな些細なことも貴重な情報源だ

関係の無さそうな家族構成もAに夢遊病の引き

金となる影響を与えた可能性がある

ブレアは深呼吸をした

ｱﾛ)「お、お嬢様…」

ブ)「大丈夫よアロンゾ…気にしないで

伯爵、少しお待ちになって」

シ)「? あぁ」

ブ)「アロンゾあれを」

ｱﾛ)「しかs「早く」…はぁ」

アロンゾと呼ばれた使用人は暖炉の上にあるあの

家族の絵を外すとはめていた白い手袋を外し爪で

裏を引っ掻いたやがて小さな便箋を手に戻ってきた

ｱﾛ)「どうぞ…」

ブ)「ありがとう」

ブレアが僕に便箋を差し出す

ブ)「開いて下さい…」

シ)「…」

僕は便箋を受け取る随分と古い…所々色が変色

している便箋の周りには小さな穴があるおそら

く糸で額の裏側に縫い付けていたんだろう…

僕は静かに便箋を開いた

＜この子はAと申します。

この子は親を失いました。

どうかこの赤子に居場所をお与え下さい。

孤独に震えることない温かみのある居場所を。

願わくば、この子にウェストの名を名乗る権利を

お与え下さい………──＞

その後も切々と綴られる想いの言葉

シ)「これは…」

ブ)「18年前屋敷の前に置かれていたものです

生まれて数ヵ月も経っていないAと一緒に」

シ)「置かれていた…?」

つまりAは…

ブ)「Aは屋敷に捨てられた孤児(みなしご)

…ウェスト家の人間ではないんです」

シ)「!」

Aが描かれていない絵は全てA拾われる

以前のものか

シ)「この事をAは…」

ブ)「知りません屋敷のなかでも私と亡くなった

両親…あとはカルとその場に居合わせた一部の者

しか知りませんわ」

シ)「…伝えようとは思わなかったのか」

ブ)「あの子はウェストの血縁ではない…けれど

ウェスト家の令嬢として立派に在ろうと自分の才

能を振るってくれていますそんな姿を見たら…」

シ)「切り出せなくなった…か」

ブ)「…はい」

シ)「…」

Aはウェスト家の人間ではない…潜在的に残

った赤ん坊の記憶が夢遊病の引き金か?いやまだ

分からないことが多すぎる安易に原因を突き詰

めるのは得策じゃない

シ)「Aの親や出身地について情報はあるか?」

ブ)「いいえ何も…あるのはその手紙くらいです

私達はここに来る以前のAを全く知らない…」