◆黒執事◆～Soul in the mist 霧の中の魂～part1 (ページ4)

今日:13 hit、昨日:30 hit、合計:73,748 hit

◆4,限界の屋敷ページ4

ブ)「あの子の部屋の前には毎晩最低3人は見張りを立てています」

シ)「見張りを?妹の部屋に…」

ブ)「それでもダメなんですどうやってでも出て

いこうとするんです!この間はドアを破ろうと何

度も体当りを繰り返し痣だらけになって…一昨日

は窓から飛び降りて屋敷を飛び出したんです!し

かも森の奥の深い谷底を覗き込んで…身を投げよ

うとしました!

もしカルが見付けていなかったらと思うと…私

…今でも怖くて……!」

とうとう堪えきれなくなったのかブレアは声を圧

し殺して口を手で覆いながら泣き出した

カ)「ブレア様…」

カリバンさんはハンカチを差し出し背中を擦る

カ)「この通り…ブレア様も屋敷の使用人も皆不安

がピークに近い状態です

A様も楽観的に見えてご自分がおかしいとい

う異変は薄々感じています

毎朝自分の足に泥がついていたり知らない場所

にいたりという状況に怯えておられますこの間

はナイフを持って私に殺してくれと泣き付いてき

ました…

今回思いきって女王陛下の使者の方に相談をし…

陛下の慈悲を受けるに至っております」

セ)「皆さん表に出していないだけで…かなり追

い込まれているようですね」

カ)「はい…」

シ)「危機的状況か…なるほど」

カ)「一昨日身を投げようとしたお嬢様を押さえ

込んだ時お嬢様は激しく抵抗なさいました

『帰る』と言ってきかないのです」

シ)「帰る?」

カ)「譫言のように何度も…自分の家へ…

『ミスト・ガーデンに帰る』と」

シ)「ここでミスト・ガーデンの登場か…」

カ)「お嬢様は言葉を口にしたことが記憶にないの

は勿論ミスト・ガーデンを訪れたこともありません」

ブ)「ですから是非伯爵のお力でミスト・ガーデ

ンへあの子を連れていってこの奇怪な現象の謎を

解いて頂きたいのです」

カ)「お嬢様を連れて!?いけませんブレア様!」

ブ)「…」

シ)「?」

カ)「危険です!ミスト・ガーデンなど在るかも分

からない場所を探して赴こうなど!反対です私は!」

ブ)「だから貴方には言わなかったわでもこうす

るしかない…」

カ)「お医者の指示通り薬療法を続けましょう!

伯爵のお屋敷で環境を変えリラックスさせ…」

ブ)「薬が一度だって効いたことある!?残念だけど

手がかりはこれしかないの!行って何かが変わる

なら…あの子に本当の笑顔が戻る可能性があるな

ら…私はそれに賭けたい…藁にも縋る思いなの

カリバン…分かって…?」

ブレアの瞳で涙が光った