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ばっちり目が合う。
湯船に浸かる私、開いたドアから顔を覗かせた大橋くん。
……ん？顔を覗かせた？
『うわっ！！』
慌てて両腕を体の前で組んで、勢いよく顎まで湯船の中に沈ませる。
え？下半身は見えてへんよな？お風呂の蓋あるしな？
そんな私の様子でやっと気がついたのか、彼は私より大慌てで身を引いた。
「わっ、ごめんなさい！！俺見てない！なんも見えてへんで？！」
バン！とドアが閉められて、でも勢い余って磨りガラスの向こう側であちこちにぶつかっている音がする。
『ちょ、大丈夫！？』
「大丈夫、ほんまにだいじょーぶやから！ごめんなさい！！」
ほぼ叫んでる謝罪の後、まあまあな激しさで脱衣所の扉も閉まる音がした。
突然また静かになるお風呂場。
……いや、不可抗力やもんな。分かってるよ、大橋くん。寝てた私が悪いんやもん。
別に何も怒ってないのに、お風呂から上がってリビングに行ったらソファーの上で小さくなってる大橋くんがいて、三角座りのままこっちを向いた。
「おかえりなさい、」
『ただいま……あの、大橋くん。起こしてくれてありがとうな？』
彼の目の前まで行って私も地べたにしゃがみこむ。
全然怒ってないことをアピールして、未だに申し訳なさそうに下がっている彼の眉を何とか上げようと試みた。
ほんまに怒ってへんから気にせんといてって言ったのに、やっと目が合った彼はぽつりと呟く。
「あの、ちゃうくて……」
『ん？なに？』
「ほんまは、」
ほんまは？
「ちょっと見えた」
『……それはなんか、こっちがごめん』
お見苦しいものを……
居たたまれない気持ちになって立ち上がったら突然ふらりと倒れそうになって、ぱっと大橋くんに腕を掴まれる。
「のぼせた？」
『……かも』
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作者名：ぽて子 | 作成日時：2023年6月23日 19時
