ミステイク・ラヴァー【 sh 】 (ページ6)

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仕事帰り、駅前で深呼吸。見ず知らずの人と会うなんてこんなにも緊張するんだね。そして待ち合わせ場所に到着した。時間通り。それらしき人は見当たらなくて辺りを見渡す。パッと目が合ったのは黒キャップを深く被った黒マスクの男性。一際オーラを放ってる……芸能人？いやいや、違う違う。目線を外して、席に座ろうとすれば、隣に感じる人影。嘘でしょ、え、まって、

『葉山さん？』
「……えっ！」
『しーっ！』
「あ、すいません！」

まさかだった。声が一致した。
恐る恐る顔を上げると、……一際オーラを放つ今、目が合った張本人だった。

『とりあえずここ目立つんで出ましょ』
「えっ、あ……」
『あ、カフェラテ飲めます？』
「はい…」
『これ買っておいたんで、まだ温かいです』
「あ、……ありがとうございます」

出口に向かい歩きながら、手渡された温かいカフェラテ。この時期にホット？！
状況が掴めず、ただただ背中を追いかけた。

『こっち車停めてあるんで、行きましょ』
「……あの、」
『はい？』
「……おいくつでいらっしゃいますか？」
『２４です』

私ってば何を聞いてるんだ。この人、確実に芸能人。
ショウでしょ……ショウ、なんとかショウさん、……分かんない。

「あ、同い年……」
『まじで？！』
「はい」
『じゃあ敬語はなし！』
「……うん」

意外とお喋り？人見知りな私にとってはこの状況はキツい。極力話しかけないでほしいし、携帯返して、" はい！さようなら " を期待してたのに、どうしてこんなことになってるの……ちょっと待っててね、と言われてその場に静止。しばらくしてやってきた黒光りの高級車。

……もう絶対に芸能人じゃん。

『後ろ乗って！』
「え、でも、」
『いいから！早く！』
「……は、はい、失礼します」

そうか、芸能人だと記者とかにバレたらまずいのか。まあこんな平凡な私なんかを取り上げたってなんの意味もないと思うけどね。渋々、後部座席に座ると、……うわぁめちゃくちゃいい匂いするじゃん、なにもう。

早くここから出してください。なんて思ってたらキャップを若干上にずらしてマスクを下ろした。

『あ、じゃあ、携帯もらってもいいすか？』
「……あ、はい！」

誰だっけ、見たことあるような、ないような。

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