Flower74 ページ24
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思ってたより声は小さかった。
けど3人しかいない病室では充分聞こえる声。
やっと言葉に出来たが、精市からの返答はない。
と言うより、固まってる…？
A「精市？」
幸村「え、あぁごめん。ちょっとビックリして。そうだ柳、売店までちょっと水を買ってきてくれない
か。」
柳「分かった。」
柳が病室から出ていくと、ここは私と精市だけの空間になる。
さっき落としたであろう本を枕元に置くと、藍色の君は両手を広げた。
幸村「A、おいで」
極上の甘い笑顔で私に促す。
"甘えておいで"
きっとそういう意味も含まれてるのだと思う。
何故だか無性に泣きたくなった。
甘えることを、許されているんだって…そう思った。
でも今泣くのは違う。
私は吸い寄せられるように、精市の両腕の中に収まった。
幸村「ごめんね、不安にさせてたんだよね。確かに手術の成功率は高くない。
けど、俺は戻ってくるよ。テニスをするため
そしてAと幸せになるために。だから信じて。」
私は馬鹿だ。
精市はなんの迷いもないのに、私が不安になってどうする。
私が精市を支えなきゃいけないのに、私が支えられてどうする。
私が精市の帰りを一番に信じないでどうするんだ。
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作者名：ゆん | 作成日時：2018年8月12日 20時
