６０．枯れた港 ページ10
Aに海軍の追手が差し迫る。
現状打破のためには すぐにでもこの島を離れたほうがいいだろうという結論に至り、
サンジとウソップがルフィ達を呼び戻しに向かった。
しっかりAさんを守れよ、と念押しされたゾロは眠ることなく起きていた。
ゾロから数メートル離れた場所で廃れた土地を眺める。
ここは……
この 枯れた港 は……
かつてAが家族4人で暮らした家
酒場アイビー があった土地
ずっと探していた場所
“花ざかりの港 ブルームハーバー”
石造りの家、花壇、灯台
どれも記憶の中に残っている。
降り立った時は全く気づかなかった。
まさか ここがわたしの故郷だったなんて…
町全体が“花に囲まれ”
どこにいても“海の音”と
海賊の“笑い声”が聞こえてくる。
そんな場所だったのに…
変わり果てた景色に愕然とした。
“ブルームハーバーがなくなったのはおまえのせいだ！”
酒場アイビーが燃やされた後のことをわたしは知らない。
しかし 元々ブルームハーバーに住んでいた人々が
海軍からの圧力によって追い出されて、隣の村に追いやられて、この港町が潰されたのだとしたら…
想像が正しければ、店主の言う事も間違いではない。
わたしがいたから、美しかった町は殺風景な廃村になってしまった。
わたしのせいで、花は枯れ、この港町は過去のものになってしまったんだ。
大好きだった故郷はもうない。
その上 廃れた原因が自分である可能性を知り、酷い自己嫌悪に陥った。
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作者名：NAV | 作成日時：2023年11月1日 22時
