５８．期待外れ ページ8
サンジとウソップの手は買った食材や日用品で埋まってきていた。
Aはレディだからと 何度言っても荷物を持たせてもらえず、これじゃあ まるで いる意味がないと、なにか手伝えることはないかと考えながら歩いていた。
「…！」
ある店を発見し、立ち止まる。
みつけたのは 写真館
首にかけている“カメラ”に手をかけた。
もしかしたら現像できるかもしれない。
家族に繋がる手がかりとして常に持ち歩いているカメラ
これまでも新しい土地に着いたら まず探すのは写真館だった。
どこへ行っても型が古くて現像できないと断られ、その度に肩を落とした。
ふたりに断りを入れて、
今度こそ、と扉を開けた。
「これはかなりの年代物ですね」
店主はカメラを眺めながら言った。
今度もダメか……そう思ったが、
「ですが 現像できますよ！
お待ちの間、中でお茶でもいかがですか？」
「本当ですか！？」
期待を胸に目を輝かせ、店主のお言葉に甘えて お茶を頂く事にした。
「10年以上前、この村はここまで栄えていなかったんです」
「隣町の人 全員で移住してきて」
「この村は栄えた村になった」
現像を待つ間、ここ フラワービレッジの経緯を教えてくれた。
店主が席を外し、Aは窓のない部屋を見渡した。
この部屋にあるのは椅子と机と空になったカップ
耳を澄ますと靴音が聞こえてくる。
靴音はこの部屋に近づいてきていて、
それも1人や2人ではなく、ざっと20はいる。
靴音の正体は海軍だった。
この写真館はAを捕らえるために手を回されていた。
行く島々で写真館をまわっていることが知れてしまっていたんだ。
窓のないこの部屋に逃げ場はない。
戦闘に向けて 身構える。
この場を切り抜けるには戦うしかなかった。
Aは追い詰められた現状よりも、
写真を現像してもらえるという期待が外れた事に対してショックを感じていた。
蹴破られた扉から続々と迫り来る影をつぎつぎとなぎ倒していった。
すべて倒し終わり、部屋の外に出ておじいさまのカメラを探した。
探していると、フワフワして意識が飛びそうになる。
「睡眠薬入りか」
飲みきったお茶を思い出しながら呟いた。
店主が目の前に現れた。
「カメラはどこに？」
「おまえのせいだ！」
「ブルームハーバーがなくなったのはおまえのせいだ！」
カメラの所在を尋ねても、答えてくれず、Aを責めるようにナイフを向けた。
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作者名：NAV | 作成日時：2023年11月1日 22時
