８８．永遠に続けばいいのに ページ38
手を繋ぐ帰り道
ふたりきりの時を惜しむようにゆっくりと歩く。
好きも、さみしいも、はずかしいも
わたしだけじゃない。
そんなあなたの気持ちが本当にうれしい。
この瞬間が 永遠に続けばいいのに。
歩みを止めると、
繋がれた手だけが前へ引っ張られて、
立ち止まったサンジ君が不思議そうにこちらへ振り返った。
「どうしたの」
帰りたくない
明日が来ないでほしい
ずっとそばにいてほしい
困らせたいわけじゃないと、
わがままをかき消した。
ごめんやっぱり
あと一回だけ…わがままを言わせて。
「サンジ君の事 もっと知りたい」
「……」
「うまく言えないんだけど、サンジ君のこと、まだほとんど知らない気がして」
「もちろん知ってることもあるけれど、それだけじゃ足りない…というか」
「話すと長くなるんだが構わないか」
「うん 聞かせて」
話をしているうちに、時間を忘れてしまったふたりは
日が暮れて、星が瞬いても その場を動こうとはしなかった。
–30m離れた地点にて–
ルフィ、ゾロ以外の一味はふたりの跡をつけていた。
「なにを話してるのかしら」
「アイツら 朝は喧嘩してたもんな。仲良さそうでよかった！！」
「ナミ いいのか？やさしくするなって釘刺してたのに、結局サンジ」
「いいのよ！Aが幸せならそれでいい」
なかなか進展のみられないふたりをじれったく思っている者は少なくなかった。
遠くで幸せそうに笑うAを見て、
ナミはうれしそうにほほ笑んだ。
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作者名：NAV | 作成日時：2023年11月1日 22時
