78.自由とその先 ページ28
ハリーンの逮捕により、
ミスティア・A / ミス・レディ にかけられた懸賞金は早々に取り下げられた。
もう海軍から追われることはなく、どこでどう生きようが構わない。
正真正銘、自由 だ。
これからどうする?
おじいさまはもう海へは出られない
彼らはあっという間に海へ出てしまう
明日からどう過ごせばいい?
もっと彼らと冒険がしたい
やっとの思いで再会できたおじいさまと一緒に暮らしたい
わたしは……どうすればいい?
選べるのはどちらか一方のみ
いくら考えても答えは定まらないままだった。
Aが下した決断は、
船を降り、島に留まる というものだった。
「A おれ達と行こうぜ、なっ!」
「そうだよ。降りるなんて言うなよ…」
「もし負い目を感じてこの船を降りるのなら許さないわ!」
「決して負い目を感じたりしてないよ」
「ここに残るのはわたしのためだから」
簡単に下したように見える決断も、決めるまで 実は2日もかかった。
海へ出るか、島へ留まるか、決めかねているAのために考える時間を設けられた。
猶予は3日。4日目の朝には出航する。
やっと出した自分なりの答えに迷いも不安もある。
けれど、きっと大丈夫だと思えるのは、
信頼の置ける仲間に出会えたからだ。
Aには夢ができていた。
それはこの島に留まることにした大きな理由の一つ。
「ビビと比べたらわたしの夢なんて小さなものだけど、必ず実現してみせる」
「立派な夢だ!」
「そうだな。夢に大きさなんてもんはない」
ルフィとゾロの言葉に背中を押され、Aは決意を固めた。
「夢ができたのはみんなのおかげだよ」
「ありがとう」
みんなが居てくれたから、こうして明日を選べる。
この決断は自分を愛するために 自身で選んだ道へ進むための第一歩だ。
メリー号の出航日に変更はない。
すでに出航の2日前の夜を迎えていた。
限られた時間だからと、突然なにかが変わるわけもなく、時間ばかりが過ぎていく。
今日もあっという間に終わってしまった。
彼らと過ごせるのは残り1日となった。
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作者名:NAV | 作成日時:2023年11月1日 22時