７４．素敵な名 ページ24
「まずはルフィ達と合流しよう。この近くにいるはずだ」
–––
一味は勢揃いし、Aのおじいさまを救うべく、闇に紛れながら作戦を企てた。
「Aは船で待機してたほうがいいんじゃない？」
「おじいさまはわたしから説得しないと来てくれないと思うの。だから行かせて」
「あとはさっき話した通りで問題ないな」
サンジの言葉に、全員が顔を引きしめた。
「みんな、ありがとう！」
「お礼を言うにはまだ早い」
「そうね。その言葉はこの作戦がうまくいってから言ってちょうだい」
「ルフィ」
「なんだ？」
サンジがルフィを呼び止める。
会話の内容はしっかり聞こえず、サンジ君の横顔とルフィさんの真剣な顔だけが
「いいぞ。好きなだけやれ」
「了解！」
ふたりが話す様子を黙って見ていたAの所へ、サンジはやってきた。
「お願いがあるんだ」
「ケリがついたらAさんの事、もっと教えてくれないか」
頷いてみせると、安心したように笑った。
A、ルフィ、サンジはウッドの保護
ウソップ、チョッパーは指定場所に待機し、情報伝達
ゾロ、ナミ、ロビンはいつでも出航できるよう船で待機
作戦通り、各々の配置についた。
ウッド保護に動いていたA達は、ウッドを説得し無事に保護に成功していた。
「よし、このまま港へ。Aさんを頼んだぞ ルフィ」
サンジは別行動をするような言い回しをした。
「どこへ行くの？」
「お礼参りだ」
言葉の意味を理解し、引き止める。
「そんな事しなくても、」
「ごめんな。Aさんは良くても、おれの気が済まねェんだ」
「そんなに傷つけられて」
サンジ君はきっとこの腕の火傷の事を言っているのだとわかり、服の上からなぞった。
「それに痛むのはその傷だけじゃない。そうだろ？」
つらい記憶、失ったもの、心の痛み
サンジ君は知らないはずなのに、すべてわかってくれているようだった。
わたしのためにこんなに真剣に怒ってくれる人がいる。
それだけで十分だった。
「少し待っててくれ。すぐ迎えに来る！」
「テイラー・A……それがわたしの名前」
「テイラー・Aさん」
「きみにピッタリの 素敵な名 だ！！！」
引き止める理由をなくして、
駆けていく背中を見送りながら、
地面に座り込んだ。
すべて終わったら話したいことがたくさんある
だから わたしにもサンジ君のこと教えて
Aはサンジのおかげで未来に希望を見出していた。
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作者名：NAV | 作成日時：2023年11月1日 22時
