７３．導く星 ページ23
美しい星空の中で
いちばんにみつけてしまう一番星のような
そんな存在があなただ
「Aー！」
「A！どこだー！」
遠くから聞こえるわたしを探す声
あの日と違うのはおじいさまが迎えに来てくれた事と
助けてくれる仲間がいる事
「おかしいなァ Aのじいちゃん Aをここに連れてくるって言ってたのに」
また助けてもらっていいのだろうか。
頼ってしまえば、離れられなくなってしまう……きっと、もっと好きになってしまう。
「みつけた」
何度も救ってくれた声が降り注いだ。
「いろいろ事情があるんだろうが、今はなにも話さなくていい。なにがあってもAさんの味方でいると約束する」
「だから 安心して」
すぐにでも出航できる準備が整っている。
はやく船へ戻ろう。
そう言われて、サンジ君に手を引かれて歩き始める。
また、みんなと冒険ができる。
そんなの願ってもないことだった。
でも…
ここに残るおじいさまはどうなる？
これまでは 身を潜めて暮らしてきたのかもしれない。
今回でおじいさまの存在が公になっていたとしてもおかしくない。
今度こそ、家族がいなくなってしまうかもしれない。
ママが亡くなり、
パパが罪をかぶり、
ブルームハーバーは廃れてしまった。
これら全てが決して受け止めきれない、目を背けたくなるような現実だ。
全部 わたしのせいなのに、
また逃げるの？
そして おじいさまはわたしのために…
引かれる手を振りほどき、立ち止まった。
「…？」
戻ったところで、わたし一人の力でおじいさまを助け、守り切れるだろうか。
海兵になんて…ミスティア家の人間になんて死んでもなりたくないが、おじいさまを守るためには…覚悟はできてる。
でもそれではおじいさまは納得しない。
じゃあどうすれば……
無意識に首の
「…」
「Aさんはどうしたい？」
言いたい事を見透かすように問いかけられる。
助けを求めたら、必ず助けてくれる仲間が目の前にいる。
何度も頼っても嫌な顔一つせずに、だ。
本当にいいの…？また頼っても…
サンジ君の目は、大丈夫だ、と言っているような優しい目をしていた。
「おじいさまを置いて行けない……あの場所に戻りたくもない」
うまく言葉にできずに、わがままを並べた。
「サンジ君の力を貸してほしい」
「やっと頼ってくれた」
彼はうれしそうに笑った。
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作者名：NAV | 作成日時：2023年11月1日 22時
