７０．最後の一枚 ページ20
お世辞にも綺麗とは言えない濁った湖
そのほとりにある小屋へ連れてこられた麦わらの一味
小屋の中で 老人は一味へ自らの正体を明かした。
「わたしはAの祖父のウッドという者だ」
「祖父……じゃあ あなたがAのおじいさま？」
ナミが声をあげる。
「そうだ。Aはわたしをおじいさまと呼んでくれていた」
「待て」
今度はゾロが発言した。
「Aはアンタに会うことを条件に海軍に従ったはずだ」
「それなのになぜここにいるんだ」
続けてサンジも
「祖父ってのは アンタことか？」
「いやでもAさんの祖父は喫煙者のはずなんだが…」
「そうか…そういうことか」
Aの祖父 ウッドは事を理解したように頷く。
「会わせてくれるはずがない…あの男はわたしとAを引き離した元凶だ」
「あの男…？」
「Aの父方の祖父、海軍中将 ミスティア・ハリーン」
「なっ、海軍中将…！？」
「Aって海軍中将の孫だったのか！？！？」
驚きを隠せない6人をよそに、
以前、話を聞いた事のあるナミは真剣な表情をしていた。
「わたしはあの男に見つからないように 身元を偽って生活している」
「Aの過去に繋がるものは全て消し去る気なんだ」
「だが このカメラが無事だったとは驚いた」
ウッドはAがずっと大切にしていたカメラを眺めた。
「無事かは まだわからねェ…一度 浸水させちまったんだ」
「カメラを預からせてくれないか。もしかしたら写真を現像できるかもしれない」
「元々 あんたのカメラだろ」
「あァ その通りだな」
カメラを手に、笑みを浮かべながら小屋の奥へ姿を消した。
写真の現像を終えたウッドが姿を現す。
「すぐに水から引き上げたおかげで中身まで浸水しなかったようだ」
出来上がった写真を机の上に広げてみせた。
メリーでの思い出がよみがえる。
食事風景、喧嘩の様子、クルーの笑顔
宴から日常まで
写真のどれもが Aの見た景色だった。
「Aさん いつの間に」
「これはきみに」
ウッドは一枚の写真をサンジに手渡した。
Aが見た景色 ウッドが隠し持っていた 最後の一枚 は
月の光に照らされた サンジの横顔だった。
「どうやら きみ達は本当にAの仲間のようだな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 391人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NAV | 作成日時：2023年11月1日 22時
