６４．支配 ページ14
「
「そんなわけない！」
「そんなわけ…ない」
ハリーンの言葉は信用ならない。
それでも その言葉にはAの心を 支配 する力があった。
「いい事を教えてやろう」
「
彼らをすぐにでも仕留めることができる。
そう言いたいのだろう。
「命の保証はしない。しかし お前がここにいる限り、こちらから手出しはしない」
「彼らが死のうが関係ない」
「どうだか、お前のことだ、すでに心を許しているのではないか？」
「違う」
「やさしくされた相手には素直」
「過ごした時間がわずかであっても情けをかける」
「それがお前だ」
「違う！そんなことない！」
「それがお前の甘さだ！！！」
この男はわかりきっているんだ。
わたしの性格、思考を掌握している。
わたしが大人しくしていれば、
彼らに手を出されることはない。
だからといって 言う通りに反抗をやめてしまえば、彼らに心を許していることを認めることになる。
どうする…？どうすればいい…？
いくら考えても答えがでない。
柵の錠が開く音で、ハッと我に返る。
銃を持ったハリーンがこちらに近づいてくる。
「18年前、お前から家族を奪ったのは私だ」
「なにを……言ってるの？」
「これは紛れもない事実だ」
手の拘束を解かれ、銃を手渡される。
「
銃口はハリーンの心臓に向けらている。
銃を掴まれていて、銃口をそらすことはできない。
「撃て！」
撃つか撃たぬか
言葉を発することもできずにただ固まっていた。
「腰抜けが」
ハリーンに打撃され、気を失った。
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作者名：NAV | 作成日時：2023年11月1日 22時
