６２．行方知れずの仲間 ページ12
「どうしてもおじいさまに会いたいの」
「さっきから言ってる おじいさまってのは？」
「おじいさまはわたしの祖父…家族なの」
「わたしがいなくなった理由は言わないでいてほしい」
「黙って行くつもりか？」
「また会えた時にわたしの言葉で説明したい」
「戻って来るんだな」
「必ず」
「お前の気持ちはわかった」
「わがままでごめんなさい」
「気にすんな。うまく誤魔化しといてやる」
–––
夕暮れが麦わらの一味 7人を照らし、影を作る。
船で待っていたはずのAがいなくなっていたことを
ゾロは強く非難されていた。
「お前がそこまで薄情なヤツだったとは見損なったぞ ゾロ！！」
「Aは今日 海軍とひとりで戦った」
「逃げる意思があったからだ」
「そんなAが海軍についていくはずがねェ！！」
「Aが望んだことだ」
「なら どういう訳か説明しろよ！」
「Aは戻ってくる。他に言う事はなにもねェ」
「なにも言う事はねェ……だと？」
「おれは言ったよな。“しっかりAさんを守れ”って」
「それがどうだ。Aさんは消えて、お前だけがこの船にいた」
「なんの説明もなしにこの状況を飲み込めってか！！」
「飲み込めるわけねェだろ！！最初から最後までぜんぶ説明しやがれ！！！」
説明しようとしないゾロにサンジは怒りをぶつけた。
「だから Aが望んだことだと言ってるじゃねェか！！」
「つぎ同じ事言いやがったら…」
「理由は話さないでほしい。また 会えた時に自分の言葉で説明したい、だと」
「そう頼まれた。だから 話せねェ」
Aとの約束を破る気はないらしい。
サンジは船を飛び降り、
「捜しに行ってくる」
と告げた。
「Aの意思だっつってんだろうが！」
「海軍に従うことを決めたのが本人の意思だったなら捜す必要はねェだろ」
「もし てめェの言う通りだったとしても、
Aさんの言葉で聞かない限り 納得できねェ」
それだけ言い残すと
仲間 を捜しはじめた。
ナミもウソップも
チョッパーもロビンも
「だから 戻って来るって！……ったく」
「戻って来るのはいつなんだ？」
船に残っていたルフィが尋ねた。
「さあ そこまでは聞かなかったな」
「わかんねェのか…じゃあこっちから会いに行くぞ！！」
つくづく話を聞かねェヤツらが揃ったもんだ、とゾロも船を降りたのだった。
行方知れずの仲間 Aを捜すため、麦わらの一味が動き出す。
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作者名：NAV | 作成日時：2023年11月1日 22時
