Missing you .

会いに行く人 ページ23

side：A


私の会いたい人

それが私の好きな人


それが誰なのか分かった時

私はいてもたってもいられず


彼の所へ向かってた







『ただいま！』


そう言って家のドアを開ける


真っ暗な部屋を見て

力が抜けて地べたに座り込む


いるわけ、ないよね


すると後から聞こえるドアを開ける音

振り返るとそこには不思議な顔をした剛典がいた


「どうした？」

『ううん、何でもない。おかえり剛典』


いつもよりにこやかで機嫌がいい剛典

それだけじゃない

今日は剛典から女ものの甘い香水の匂いはしない


私が好きな

剛典の香水の匂いだ


『あのさ、剛典話が、』

「A」

『ん？』

「いつもお仕事お疲れ様」

『え？何急に(笑)』

「今日さ、俺ら付き合って2年半年記念日」


え？

慌ててケータイを開けば

ディスプレイに表示された日付には

17日 と書かれていて


なんで、急に？

半年なんて今まで祝ってこなかったのに


「これAに似合うかなあと思って」


そう言ってかけてくれたネックレス


鏡に映った私の首元には

シンプルなデザインの小さなダイヤが光ってて


『いいの･･･？』

「Aのために買ったんだもん、いいに決まってんじゃん(笑)」

『ありがとう、剛典』

「･･･で、話って？」


なんで今なんだろう


『ううん、やっぱりなんでもない！お風呂入ってくるね〜』


洗面所の鏡に映るキラッと光るネックレスを

ぎゅっと握りしめる


言えなかった


せっかく覚悟を決めたのに




なんで、

今までずっと待ち望んでいたこの瞬間は


今になってやってくるんだろう



また、振り出しに戻った

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