Oversight (ページ8)

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あの時は珍しくアルコールが回っていたし。
なんて言い聞かせて出社した次の日

『なぁ、これ知ってるか！？』

『…げ、』

同じテンションで話しかけてきた丈一郎にドン引き。
いやいや、朝から飲みの場のテンションと同じってなに。
あ、コイツ、シラフだったっけ。

そんな私をよそに画面を私に近付けてきて。

『毎月報告会しようや。自分の中で1番おもろかったやつをプレゼンすんねん。』

これがきっかけだった。

「…うわ、混んできた。すいませーん、」

「おい、どこ行くねん。」

「あ、丈一郎。」

私が素で過ごせるようになったのも、
合コンで負け続けても何とか過ごせているのも、
よく考えたら丈一郎のおかげなんだと思う。

「水買ってきた。」

「ありがとう。」

「これ以降はもっと混むからもう離れんなよ。」

友達、と言うべきか。

…ダチ？
言い方の問題じゃないか。

人によってはこれを友達以上恋人未満、とでも言うのだろうか。

「うん。」

でもこの関係を聞くことはしない。
この関係に名前を付けてしまったら、誰かが介入した瞬間に崩れてしまう。
それは痛いほどよく知っているから。

「ねぇ、」

「ん？」

「…今何連勝中なんだっけ、」

「3連勝や。今期もマジ調子ええからな。瞬きすんなよ。」

「物理的に無理だわ。」

今までは手首を掴まれていたはずなのに
今日はなんで手を繋いでるの、とか
その理由も聞かない方がいいのだろう。