Oversight (ページ5)

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"下におる"

「はいはーい。今行きますよーっと。」

12時半ぴったりに送られてきたメッセージに
慌てて家を飛び出した。

この間新調したワンピースと揺れるピアス。
後で写真撮ってやる、なんて携帯画面の自分に笑いかけてみた。

「お待たせしましたー。」

「…、じゃあ、とりあえず駅行くわ。」

「なに今の間。」

「…髪、そんな長かったんやなって。」

「そこはポニーテール褒めるとこでしょ。結構時間かかったんですけど。」

褒められたい訳じゃない。
ワンピースも着たかっただけ、ポニーテールもしたかっただけ。ただ気合いを入れたのは間違いじゃないから。

ココ最近、1番浮かれているから。

「まぁ、ええんちゃう。」

「うん。私もそう思う。」

珍しく突っ込んでこないことを不思議に思って
覗き見たその横顔は
困ったように口を噤んでいた。

照れ隠しだな。

さらに揶揄うように軽く口に出した言葉は

「こういう格好してたらデートみたいに見えるでしょ？」

「…俺はそのつもりやけど。」

ブーメランを食らうのだ。

コイツはそういう男だった。
気付いた時には時すでに遅し。
今度はこっちが口を閉じる羽目になった。

やっぱり姉のいる男は侮ってはいけない。