Oversight (ページ31)

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「…今更好きとか、どの面下げて…」

「藤ちゃーん、何かジメジメしたものが出てるけど。」

「…今まで散々興味無いフリしといて、実は好きでしたなんてオチ許されるわけがない…」

「今更なんて思わないでしょ。丈はむしろ喜ぶと思うよ？」

「…なんで、私、丈一郎なんて一言も！」

私は鈍感の部類らしい。
呆れたように同期の彼女が笑った。

「藤ちゃんが相談してくるのは丈のことばっかりでしょ。」

「…そんなに分かりやすい？なら、丈一郎にもバレてる？」

「ないね。夏に振られたって落ち込んでたからね。」

「…すいません。」

まぁ、そんな都合の良い事あるわけないけど。
幼馴染の恋愛ってこんな感じ？いや、ちょっと違うな。

言わなくても伝われ、なんて
紛れもなく我儘だ。
私にだって分かるくらいだし。

「まぁ、振られたからって諦めてるわけじゃないと思うけどね。現に前より一緒にいるわけじゃん？」

「はい。」

友達のままでいてくれ。と言われたわけではない。
むしろその逆で

…好きにさせたるわ、と。

私はその言葉通りにさせられただけで。
まんまと好きになってしまったわけで。

「ああ見えてロマンチストだからねぇ。
多少遠回しに言っても伝わるような気がするけど。」

「あー調べたら出てくるようなセリフ？」

「そうそう。はっきり言うのが難しいならアリかもね。」

というわけで、
その方向で実行することにした。