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「はぁ、マジ良かった。もう悔いなし。」
「大袈裟やろ。」
「良い映画観た後って、いつもこうなる。」
正直、内容は二の次やった。
どんな意図か知らんけどガッツリ恋愛映画やし。
連れてきた本人は序盤の方から泣いてるし。
てか、ようやく叶った恋の感動とか分かるんか。
俺は知らんから
感情移入できひんかったけど。
「じゃあ、次は丈一郎の番ね。」
「は？」
「私に付き合ってもらったから、次は私が付き合う番！
あ、でも今から野球観戦は流石にムリだから
何か奢るよ。何が欲しい？」
急やな。
そんな俺の気持ちが分かったように
急かすような目で見てくる。
「別に、」
「等価交換！」
「何が等価やねん。」
「貰ってゴミになるようなものあげたくないし。」
お前から貰うなら、何でもええのに。
てか捨てれへんし。
等価にならんくてええなら
俺の目の前に、1番欲しいもんがあるんやけど。
「…時間。」
「え、それはー、超能力者的な？それとも寿命？」
「お前との時間。」
「…ちょっと、お待ちください。」
後ろを向いたその背中がピタリと止まる。
それが何を意味するんか、俺には分からんし。
良い意味やったらええか。ってそれだけを考えながら。
「…よし、そんなことでいいなら今日1日丈一郎の好きなようにしていいよ！」
満足気なその顔に
もう半日終わってるけど。なんて言う気は失せて
たまには好きなようにしてやろうと思った。
「とりあえずメシや。ここら辺なら串カツやな。」
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作者名：ユキ | 作成日時：2023年9月24日 15時
